女性に多いチカという名前。
意味は何でしょうか?地下?それとも?
この名前の由来については諸説ありますが、形容詞の“ちかし”に由来すると言われています。
ちかしは古語辞典ではこのように記されています。
ちか・し【近し】(形ク)
1.(時間的・空間的・数量的・心理的に)へだたりが少ない。近い。
2.血縁関係が近い。近親である。
3.物事の内容・性質の似ているさま。近い。(全約古語辞典第三版より抜粋)
ちかしい存在と言いますが、そういった人間関係を構築できるようにという願いが込められているのでしょうか?
また、ちかにはこのような意味もあります。
知化【ちか】
知力がよくはたらくこと。
(広辞苑第五版より抜粋)
男性でチカがつく4音の名前の人は昔からいますが、おそらく女性名に多いチカはそこから転化したものでしょう。
歴史上の人物で名前にチカが付く人
平安時代中期
藤原伊周
ふじわら の これちか
貴族。藤原道隆の子。
(974~1010)
平安時代後期
藤原成親
ふじわら の なりちか
貴族。権大納言。
(1138~1177)
伊東祐親
いとう・すけちか
武士。
(?~1182)
大庭景親
おおば・かげちか
武将。
(?~1180)
平安時代から鎌倉時代にかけて
中山忠親
なかやま・ただちか
公家の人。内大臣・議奏。
(1132~1195)
鎌倉時代
源通親
みなもと の みちちか
貴族。村上源氏。
(1149~1202)
南北朝時代から室町時代にかけて
花山院長親
かざんいん・ながちか
学者、歌人。
(?~1429)
室町時代
飛鳥井雅親
あすかい・まさちか
歌人で書家。書道飛鳥井流を開いた。
(1416~1490)
伊勢貞親
いせ・さだちか
武将。幕府の政所執事。伊勢守。
(1417~1473)
富樫政親
とがし・まさちか
武将。加賀の守護。
(?~1488)
戦国時代
長宗我部元親
ちょうそがべ・もとちか
武将。土佐の大名。
四国を統一。
(1539~1599)
長宗我部盛親
ちょうそがべ・もりちか
大名。土佐守。長宗我部元親の息子。
(1575~1615)
江戸時代前期
大久保忠隣
おおくぼ・ただちか
幕臣。相模守。
(1553~1628)
江戸時代中期
壺井義知
つぼい・よしちか
故実家。
(1657~1735)
土屋安親
つちや・やすちか
金工。出羽庄内の人。
(1670~1744)
幕末~明治時代
毛利敬親
もうり・たかちか
長州藩主。村田清風を起用して藩政改革を進めた。
(1819~1871)
岡田為恭
おかだ・ためちか
画家。
(1823~1864)
福岡孝弟
ふくおか・たかちか
政治家。土佐藩士。
五箇条の御誓文や政体書の起草者の一人。
(1835~1919)
小林清親
こばやし・きよちか
版画家。
(1847~1915)
3音でチカが付く名前としては、江戸時代中期の人で、“ちから”と“ちかげ”という名前の男性が見つかりました。
大石主税
おおいし・ちから
赤穂浪士で有名。
(1688~1703)
加藤千蔭
かとう・ちかげ
歌人・国学者。
(1735~1808)
主税と書いて“ちから”と読むのは、かつて主税頭を“ちからのかみ”と読んだことに由来します。
敷島(しきしま)の 日本(やまと)の国は 言霊(ことだま)の 幸ふ(さきはふ=さきわう) 国ぞ ま幸(さき)くありこそ
という和歌があるように、日本では古来からことばに霊力が宿ると信じられてきました。漢字だけではなく、響きも美しい名前であってほしいものです。