澪とはどういう意味のある字なの? 読み方は、みお?


昨今、澪という名前は人気があるようです。

2019年の明治安田生命の女の子の名前ランキングでは澪が13位。表記を無視した読み方のランキングではミオが9位、レイが39位。

調査対象となったのは、2019年生まれの男の子8,455人、女の子8,407人。そのうち名前の表記が澪の女の子が28人(占有率は0.33%)、ミオという響きの名前を持つ女の子が93人(占有率は1.11%)、レイという響きの名前を持つ女の子が43人(占有率は0.51%)でした。

同年のたまひよの女の子の名前ランキングでは、澪が9位。読み方のランキングではミオが5位。

しかし、澪とはどういう意味のある字なのでしょうか?

澪という漢字について漢和辞典ではこのように記されています。


画数:16画
音読み:レイ、リョウ 訓読み:みお

《意味》
水に洗われて、細くなったさま。
澪標とは水路に示すために水中に立てた木のくい。みおつくし。
みお。海や川で舟が航行する道筋。水脈。

《解字》
会意兼形声。「水+(音符)零(やせ細る)」

(漢字源より)

水と零(ゼロ、零落の零)が合わさった字で、水に洗われて、細くなるさまを表すとされています。ただし、漢字の成り立ちについては辞書によりやや異なる場合があります。

また、国語辞典では、このように記されています。

みお【澪・水脈】
(水の緒の意)

1.河・海の中で、船の通行に適する底深い水路。
2.船の通った後。航跡。

(広辞苑 第5版より抜粋)

底深い水路や航跡を表す字とあります。

また、澪標という言葉があります。

みおつくし【澪標】

1.(「水脈(みお)」の串の意)通行する船に通りやすい深い水脈を知らせるために立てた杭。歌で多く「身を尽し」にかけて使われる。みおぎ。みおぐい。みおじるし。
2.源氏物語の巻名。
3.香の名。香の少し苦く辛いもの。

(広辞苑 第5版より)

澪標は旧仮名遣いでは“みをつくし”。身を尽しにかけて和歌によく用いられてきました。澪標は杭のことなので、そこから耐え忍ぶとか食いしばるとかそういう連想に繋がったのでしょうか。

難波江(なにはへ)の 葦(あし)のかりねの 一(ひと)よゆゑ みをつくしてや 恋(こ)ひわたるべき (千載和歌集、皇嘉門院別当)

訳:難波の入江にある葦の刈り根の一筋のような、旅先でのはかない一夜のために、身を捨て、命をかけて、ずっと恋いし続けることになるのでしょうか。

※ここでは、“みをつくし”が、身を尽くしと、難波江の縁で澪標に掛かっています。

わびぬれば 今(いま)はた同(おな)じ 難波(なには)なる みをつくしても 逢(あ)はむとぞ思(おも)ふ (後撰和歌集、元良親王)

訳:(二人の関係が表沙汰になって)思い悩んでしまったので、今はもう同じことです。難波にある澪標、そのことばのようにこの身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思います。

※ここでも、“みをつくし”が身を尽くしと澪標が掛詞(かけことば)として使われています。


最近は、澪の字をスパークリング清酒のCMでも見かけます。


斎藤工さんと山本美月さんのCMで澪パという言葉を知りました。


遡れば、2003年に発刊され、人気を博した、作家・市川拓司さんの『いま、会いにゆきます』という小説に秋穂澪(あいお・みお)という女性が登場しました。

主人公の秋穂巧(あいお・たくみ)は、最愛の妻・澪を亡くし、一人息子の佑司(ゆうじ)と暮らしていた。しかし、妻が亡くなって1年後に、亡くなったはずの妻が巧の目の前に現れるも記憶を失っていて・・・、というラブストーリーです。

キーワードは雨。澪は亡くなる前に、雨の季節に戻るからと言い残しています。作者が澪という名前に決めたのは、澪の字に雨が入っているからなのでしょうか?

2004年に、竹内結子さんと中村獅童さん主演で映画化、翌年2005年に、ミムラさんと成宮寛貴さん主演でドラマ化されました。
この映画がきっかけで竹内結子さんと中村獅童さんは結婚したとか。

2004年というと、かれこれ15年以上の月日が経っています。しかし、初産の平均年齢が30歳前後となっている時代ですから、今親になる世代の思春期辺りということになるでしょうか。そう考えると、名付けの傾向に少なくない影響を与えているかもしれません。

ちなみに、2018年に韓国でも映画化されたそう。

この澪という字が人名に使えるようになったのは、1990年(平成2年)のこと。ちなみに、戦前は今と法律が違うため、人名に使える漢字に制限はありませんでした。改名したなど様々な事情を持つ人がいるでしょうが、本名に澪という字が入る日本人は、戦前生まれと1990年以降に生まれた人がほとんどです。

それゆえに、澪を使った名前はやや目新しい印象を与えるかもしれません。


参考:全訳古語辞典(旺文社)
https://www.meijiyasuda.co.jp/enjoy/ranking/index.html
https://st.benesse.ne.jp/ninshin/name/

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