日本の法律上、名前の漢字の読み方に関して、特に制限はないことになっています。
漢字には名乗り読みという独特なものがあり、和でカズや、裕でヒロなどがそれに当たります。
歴史上の人物というのは得てして小難しい名前であることが多いものです。
義務教育で習う、通常の音訓を当てはめると読めないという名前の人が大勢います。
この名乗り読みという独特な文化が存在しているので、いまさら漢字の読み方を制限しようとしてもその判断基準が難しく、制御不能だと、放置されている状態です。
時々、尊と書いてタケルと読む名前の人がいます。
これは、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の区切りを間違えてしまったとしか思えません。
尊はミコトと読み、神様や貴人の尊称として扱われてきました。伊弉諾尊(イザナギノミコト)や月読尊(ツキヨミノミコト/ツクヨミノミコト)など。世間一般には、尊は神様のイメージが強いかもしれません。
タケルと読ませたいならば、本来、武の字をもらわなければならなかったはずです。
我が家の漢和辞典では、尊でタケルという読み方は載っていませんでした。
しかし、日本の漢字の読ませ方というのは本当に自由なもの。
漢和辞典によっては尊でタケルの読み方は載っていると思います。
名乗り読みというのは元をたどれば結構いい加減なことが珍しくもありません。漢数字に、大体カズという名乗り読みがあるのは、数字だからでしょうし。ルーツがよくわからないこともあります。
なので、尊と書いてタケルと読むというのは今更どうこう言うような問題でもないのかもしれません。
そういえば、テレビ朝日系列で放送されている『相棒』というドラマ作品で、及川光博さんが神戸尊(かんべ・たける)という警察官を演じていましたね。