伽 という字は名前に良い?悪い?

伽という字を名前に使うことについて、どのような印象があるでしょうか。

そもそも伽という字にはどのような意味があるのでしょうか。


総画:7画
音読み:カ、ガ、キャ、ギャ 訓読み:とぎ

《意味》
梵語のガのおとを 音訳するためにつくられた字。伽羅(キャラ)。伽藍(ガラン)。
[日本語特有の意味]とぎ。たいくつを慰める物語。また、話し相手をつとめること。

(漢字源より抜粋)

この字は、当て字に用いるためにできた字で、特に深い意味はないようです。

しかし、日本では、伽(とぎ)という使われた方をすることがあります。

とぎ【伽】

1.相手をつとめること。
2.夜のつれづれなどに、そばにいて話の相手をすること。また、その人。
3.寝所に侍ること。また、その人。
4.看病すること。
5.御伽衆。

(広辞苑第五版より抜粋)

よとぎ【夜伽】

1.警備や看病のため、夜寝ずに付き合うこと。また、それをする人。
2.女が男の意に従ってともに寝ること。
3.死者を葬るための通夜。

(広辞苑第五版より抜粋)

普段あまり使わない字だけに、伽(夜伽)のイメージを強く持つ人も。

しかし、伽という字は、当て字として用いられることも少なくありません。

きゃら【伽羅】

1.(梵語tagara多伽羅の略)香木の種類。沈香の最上の種類。日本ではもっとも珍重された。
2.よいものを誉めていう語
3.遊郭で金銭の隠語。
4.おせじ。

(広辞苑第五版より抜粋)

きゃらめ【伽羅女】

美人。美女。

(広辞苑第五版より抜粋)

伽羅とは日本で珍重された沈香(天然香料)を指す言葉。

そこから、伽羅女など人を誉める言葉としても使われます。

また、伽羅色は濃い茶色を言います。⇒こんな色?

そのほか、伽藍(がらん)や伽留陀夷(かるだい)、伽那久羅虫(かなくらむし)など、仏教用語の当て字として用いられることもあります。

この字を人名に使うことについては、

・“とぎ”の印象が強すぎて特に女性に名付けるのはかわいそうだ。

・ホラービデオ/ホラー映画『呪怨』シリーズに登場する架空の人物・佐伯伽椰子(さいき・かやこ)の強烈な印象がある。

などと思う人がいます。

その一方で、

・人名に使うなら、伽(とぎ)ではなく、伽(か)で使うのだし、本来、特に意味を持たない漢字なので問題ない。

・本来的な意味からは外れるが、人偏に加という字の並びに意味を見出している。

など肯定的な意見もあります。


伽羅の意味は悪くなさそうですが、画数が多くて書くのが大変かもしれません。
本木雅弘・内田也哉子夫妻が娘に伽羅(きゃら)と名付けたことで、話題になったこともありました。

伽が名前に付く有名人に、

◇高橋知伽江(たかはし・ちかえ)・・・1956年生まれ。劇作家、翻訳家。*ペンネーム。
◇土屋炎伽(つちや・ほのか)・・・1992年生まれ。妹は女優の土屋太鳳、弟は俳優・声優の土屋新葉。
◇山本恵里伽(やまもと・えりか)・・・1993年生まれ。TBSテレビのアナウンサー。
◇山田恵里伽(やまだ・えりか)・・・1995年生まれ。女性アイドルグループ・SKE48の元メンバー。
◇内田伽羅(うちだ・きゃら)・・・1999年生まれ。女優。父は本木雅弘、母は内田也哉子。

など。

ちなみに、伽の字を日本人の本名(下の名前)に使うことができるようになったのは1990年(平成2年)のこと。
ただし、名前に使える漢字を制限するようになったのは戦後の1940年代後半のことで、それ以前から存在する苗字や、既に名付けられた名前は対象外です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする