【名付け】絆とは名前に良い字?良くない字?

近年、絆という言葉をよく聞くようになりました。

人と人とのつながりという意味で、絆を大事にとか、絆を感じられたとかそのような意味合いで使われること多いように思います。

ところで、この絆という字にはどのような意味があるのでしょうか。


総画:11画
音読み:バン、ハン 訓読み:ほだし、きずな、つなぐ、ほだす

《意味》
1.ほだし。きずな。馬の足にからめてしばるひも。また、人を束縛する義理・人情などのたとえ。
2.つなぐ。ほだす。しばって自由に行動できなくする。

《解字》
形声。「糸+(音符)半)」。ひもをぐるぐる巻いてからめること。

(漢字源より抜粋)

きずな【絆・紲】
1.馬・犬・鷹など、動物をつなぎとめる綱。
2.断つにしのびない恩愛。離れがたい情実。ほだし。係累。繋縛。

(広辞苑第五版より抜粋)

この字の意味は、縛るものという意味。
人と人の縁とは良くも悪くもなかなか切れないことがあるので、そうしたことをイメージする字です。

イギリスの作家ウィリアム・サマセット・モームによって書かれ、1915年に発表された小説は、日本語版では『人間の絆』と訳されました。原題は、『Of Human Bondage』。bondageとは隷属であったり、束縛であったりを指す言葉で、絆の意味に合います。

けれども、近年では、上述の通り、ポジティブな意味合いで使われることが多いので、現代では縛るというような意味合いはあまり知られていないのかもしれません。

日本のODAにより、“きずな橋”がカンボジアに作られたのは、2001年のこと。絆がポジティブな意味で用いられるようになったのは、かなり前からなのかもしれませんね。

また、絆創膏を連想するという声も。絆創膏で有名な会社といえば、ニチバン。日本を代表する絆創膏の会社を目指して日絆(にちばん)と名付けたのだとか。

日本では、1940年代後半頃から、名前に使うことのできる文字に制限をかけるようになりました。
もちろん、それよりも前から存在する苗字や、既に付けられた名前についてはその対象外です。

その法改正により、絆という字は、名前に使うことができなくなりました。
長い時を経て、絆という字を名前に使うことができるようになったのは2004年のことです。

つまり、絆という字を本名に持つ日本人は、苗字か、法改正以前に生まれた人、2004年以降に生まれた人がほとんど。
改名したなど特殊な事情を持つ人がいるので、必ずしも当てはまりませんが、苗字がそうであるか、今の70代以上の高齢者か、高校生以下の若者が大半ということです。

では、この字を名前に使うことは人気があるのでしょうか。

明治安田生命の名前ランキングによると、2010年に、心絆という名前が女の子の名前ランキングで91位になったことがあります。読み方はわかりません。それ以外では、見つけられませんでした。

たまひよの名前ランキングでは見つけられませんでした。

明治安田生命の名前ランキングは、1912年(大正元年)から10位以内に入る名前を発表しています。そして、2004年からは、100位以内に入る名前も発表するようになりました。2004年というと、絆が名前に使えるようになった年ですね。また、たまひよでは2005年から100位以内に入る名前を発表しています。

しかし、絆という字はほとんど名前ランキングには登場しません。あまり人気のある字とは言えないようです。

やはり、我が子の名付けに当たって改めて漢和辞典を引いたときに、ぱっと目に入る意味がネックなのかもしれません。
あるいは、音読みがバンやハンで、訓読みがほだしやきずなであることから使いにくいというのもあるでしょうか。

参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/enjoy/ranking/、https://st.benesse.ne.jp/ninshin/name/

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