【名付け】 愛 は名前に良い字?悪い字?

愛 が名前に入る人がいますが、どのような印象がありますか。

そもそも愛とはどのような意味のある字なのでしょうか。


総画:13画
音読み:アイ、オ
訓読み:いとおしむ、いとしむ、めでる、おしむ
名付け:あき、さね、ちか、ちかし、つね、なり、なる、のり、ひで、めぐむ、やす、よし、より

《意味》
1.いとおしむ。いとしむ。かわいくてせつなくなる。
2.めでる。好きでたまらなく思う。また、よいと思って、楽しむ。
3.おしむ。いとおしむ。おしくてせつない。もったいないと思う。
4.かわいがる気持ち。いとしさ。また、キリスト教で、神が人々を救ってくれる恵みの心。

《解字》
会意兼形声。旡とは、人が胸を詰まらせて後ろにのけぞったさま。愛は「心+夂(足をひきずる)+(音符)旡」で、心がせつなく詰まって、足もそぞろに進まないさま。

(漢字源より抜粋)

意味
1.「あいする」
 ア:「かわいがって大事にする」、「大切にする」
 イ:「特定の異性に心を強く引き付けられる」、「異性に思いを寄せる」
 ウ:「好きになって身近な存在だと感じる」
 エ:「機嫌をとる(人が別の人がどう思うかを気にする)」
 オ:「一つのことに心をとらわれて、そこから離れられなくなる」
2.「めでる」
 ア:「美しくて感動する」
 イ:「かわいがって大事にする」
 ウ:「褒める」
3.「惜しむ」
4.「心残りである」、「残念」
5.「異性や物を貪(むさぼ)り求める事」
6.「キリスト教で、神が人類に幸福を与える事」
7.「愛情(かわいがって大事にする心、大切にする心、
異性に思いを寄せる心)」

成り立ち
会意兼形声文字です。「頭を一生懸命巡らせる人」の象形と「心臓」の象形と「足」の象形から「大事・大切にする・好きな気持ちが相手に及ぶ」事を意味する「愛」という漢字が成り立ちました

読み
音読み:「アイ」
訓読み:常用漢字表内はなし

常用漢字表外:
「いと(しい)」、「う(い)」、「お(しむ)」、「かな(しい)」、「まな」、「め(でる)」
※訓読み⇒()の中は「送りがな」

名前(音読み・訓読み以外の読み):
「あ」、「あき」、「さね」、「ちか」、「ちかし」、「つね」、「なり」、「なる」、「のり」、「ひで」、「めぐむ」、「やす」、「よし」、「より」

画数
「13画」

参考:https://okjiten.jp/

参考:愛の書き順

愛は常用漢字です。日本では、小学校で習う字です。

平易な字なので、名前に用いることができます。ちなみに、常用漢字表に載っている読み方は、音読みのアイのみです。

このことから、アイ以外の読み方が日常生活で用いられることはあまりなく、使用する際には振り仮名が付く場合があります。有名な地名や人名を除き、愛でアイ以外の読み方は誰でも読めると期待しない方が良いかもしれません。

漢和辞典には載っていないものもありますが、国語辞典には接頭詞として、エやマナという読み方も載っています。


[接頭詞]
名詞に付いて「愛すべき」の意を表す。

古事記(上)「あなにやし、愛(え)をとこを」

(広辞苑第五版より抜粋)

まな【愛・真】
[接頭詞]
(マは真、ナは格助詞)称美・親愛の意を表す。

催馬楽、我が門に「大領の愛娘」。

(広辞苑第五版より抜粋)

愛という字の意味は、いとおしむ、めでる、おしむ。

あい【愛】

1.親兄弟のいつくしみ合う心。広く、人間や生物への思いやり。
2.男女間の、相手を慕う情。恋。
3.かわいがること。大切にすること。
4.このむこと。めでること。
5.愛敬。愛想。
6.おしむこと。
7.[仏教]愛欲。愛着。渇愛。強い欲望。十二因縁では第八支に位置付けられ、迷いの根源として否定的にみられる。
8.キリスト教で、神が、自らを犠牲にして、人間をあまねく限りなくいつくしむこと。

(広辞苑第五版より抜粋)

愛という字の成り立ちについては、人が胸を詰まらせて足も進まないさまとか、一生懸命に考える人+心臓+足など諸説あります。

良くも悪くも人を深く思うという意味合いの字なのでしょう。

キリスト教では愛はアガペー、神のいつくしみと肯定的にとらえられています。

仏教では愛欲として否定的にとらえられることもあります。行き過ぎれば修行の妨げになると考えられていました。

仏教の影響もあり、かつて愛というのは日本ではあまり前向きにはとらえられていなかったようです。

一方で、

愛し(いとし)
愛し(うつくし)
愛い(うい)
愛し(うるはし/うるわし)
愛し(かなし)
愛し(はし)
愛し(めぐし)
愛づ(めづ)
愛し(をし/おし)

など、愛の字を当てられた古語というのはたくさんあります。しかし、こと男女の恋愛において好きだという意味で愛がストレートに使われることはあまりなく、もっぱら、かわいらしい、あいらしいなどの意味合いで、愛しい我が子のような使われ方をしていました。また、愛し(いとし)や愛し(めぐし)などにはかわいそうだの意味もあります。可憐のようなニュアンスだったのかもしれません。あわれむべし。いじらしい、かわいらしい。

愛の音読みはアイですが、中国語由来の音そのままです。

アイというのは外来語と思われます。日本にはもともとない言葉だったのでしょう。

ちなみに、中国語では現代の日本語と同じように、人や物に対する好意を表す字として、こと男女間の好意を表す言葉としても使われています。

その一方で、愛染明王や愛宕神社に対する信仰があります。

密教で信仰される愛染明王は、三つの目と六つの腕を持ち、怒りの表情をしています。愛欲を悟りへ導く明王と考えられています。

日本全国に数千とある愛宕神社の総本社は、京都の愛宕山に鎮座します。防火の守護神を祀るとされています。その愛宕という名前の由来は諸説あり、判然としません。しかし、阿多古と書くこともあるので、漢字に意味があるというよりもアタゴの響きありきの当て字なのかもしれません。

あいぜんみょうおう【愛染明王】

(梵語Rāgarāja)衆生の愛欲煩悩がそのまま悟りであることを表す明王。本地は金剛薩埵。全身赤色、三目六臂で忿怒の相をなし、弓箭などを持つ。愛染法の本尊。後に恋愛成就の願いなどもかなえる明王として、水商売の女性などの信仰の対象ともなった。

(広辞苑第五版より抜粋)

愛染明王

仏と人との間にあり、愛によって両者を結ぶと考えられる明王。大日如来または金剛愛菩薩を本地とし、その仮現と考えられる。その愛はすべての悪を降伏するもので、三面六臂の忿怒の形をし、武具を持つ。人に息災・敬愛・福徳を与えると信じられ、愛染法が行われた。日本には平安職に伝えられ、また大坂の相商仲間による愛染講が知られる。

(百科事典マイペディアより抜粋)

あいぜんほう【愛染法】

密教で、愛染明王を本尊として、敬愛などを祈願する修法。

(広辞苑第五版より抜粋)

明治以降は西洋文化が日本に一気に入ってきました。キリスト教の影響も多分に受けました。愛しているという言葉を大っぴらに男女間の好意に使うようになったのもこのころから広まったのだと言われています。

そうしたことで、愛の印象も大きく変わりました。

なお、大正以前に生まれた著名人に愛人という名前の男性がいます。

愛が情夫/情婦という意味合いで用いられるようになったのは、昭和に入ってからであると言われています。それまではそのような意味合いではなく、人を愛するという意味で使われていました。敬天愛人が敬宮愛子内親王殿下の名前の由来ですが、西郷隆盛がもともとあった敬天と愛人を組み合わせた言葉であるという説があります。当時の人たちは、まさか愛人がそのような意味に変わるとは予測できなかったことでしょう。

愛を名前に用いることをどのように思いますか。

目次

愛は人気の字?
1.明治安田生命の名前ランキングから
2.ベビーカレンダーの名前ランキングから

愛が名前に入る有名人
☆男性
1.皇族・公家
2.武家
3.慶応~平成生まれ

☆女性
1.~大正生まれ
2.昭和生まれ
3.平成生まれ

☆そのほか
生年不詳、性別不詳など

グローバル
中国・香港・台湾・韓国・アメリカなど。

まとめ
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