【名付け】棗 という字は名前に使える?

棗(なつめ) とは植物の名前。

棗の実の形から茶器の名前にも使われています。

なつめ【棗】

1.クロウメモドキ科の落葉小高木。原産は中国とされる。高さ約6メートル。〈季語:秋〉
2.染料の一。1の果実を乾燥して、刻み煎じて作る染汁。茶系統の色。
3.点茶用茶入の一種。形が1の果実に似る。

(広辞苑第五版より抜粋)

“なつ”めというので、夏の季語のようですが、秋の季語とされています。

棗の実がなるのは8月の終わり頃から10月にかけて。夏というよりも秋に実がなるから秋の季語なのですね。

ちなみに、棗の花は夏に咲きます。淡い黄色の小さな花を咲かせます。

棗の実はお菓子や薬として用いられています。
漢方薬に、棗を乾燥させた大棗(たいそう)が入った大甘大棗湯(かんばくたいそうとう)など。


総画:12画
音読み:ソウ 訓読み:なつめ

《意味》
なつめ。果樹の名。卵形の葉をした落葉低木。夏、白い花をつけ、実を結ぶ。実は食用・薬用になる。

《解字》
会意。朿を二つ重ねたもの。とげの多いなつめの木の意をあらわす。

(漢字源より抜粋)

調べてみると、棗の字は日本人の本名(下の名前)には使えない字であることがわかりました。

第二次世界大戦後の1948年頃に、日本人の本名に使える漢字は常用平易なもの、具体的には常用漢字に限るという規制が設けられるようになりました。ただし、苗字や既に付けられた名前については規制の対象外です。法律の不遡及の原則がありますし、改名を強制するのは非人道的だからです。

その後、常用漢字だけでは名前に使える字が少なすぎるということで、1951年頃からは、人名用漢字を定め、それも名前に使えるようになりました1951年には92文字であった人名用漢字ですが、2021年現在863文字あります。しかし、そこに棗は含まれていません。

どうしても下の名前に使いたいという場合は、裁判を起こす必要があります。棗が入る名前を付けたいと棗が入る名前で出生届を役所に提出しても受理されないので、それを不服として裁判を起こすことになります。

裁判の間、子は無戸籍になるのかといえば、そんなことはありませんが、名無しになります。出生届は、名前を書かなくても受理されるからです。裁判の結果が出てから、追完届を提出し、名前の部分を補完します。

参考:人名用漢字に「渾」追加 司法判断を受け法務省: 日本経済新聞 (nikkei.com)

現状では、棗の字は使えないので、表記を変えて音読みのソウや訓読みのなつめの音をもらって名付けることがあるようです。

朿(とげ)を二つ重ねた字という見た目が原因でなかなか裁判まで起こす人はいないのかもしれません。

日本人では、少数ながら苗字に棗の字を持つ人がいるといわれています。前述の通り、苗字に使える漢字に規制はありません。

下の名前では、1948年より前に生まれた人に棗の字を持つ人がいるかもしれません。

また、手違いで、下の名前に常用漢字でも人名用漢字でもない漢字が使われているのに出生届を受け付けてしまったという例があるという噂があります。名前に使える字に規制をかけるようになってから70年以上。そんなミスが起きていても不思議ではありません。

日本の有名人に、棗の字を持つ人はいるのでしょうか。

調べてみると、棗 佑喜(なつめ・ゆうき)という名前のサッカー選手が見つかりました。

他の漢字文化圏ではどうでしょうか。
棗祗など姓に用いられることがあって、Zaoqiangのように読むようです。

参考:発音ガイド Forvo。世界中のあらゆる言葉をネイティブスピーカーの発音で

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする