初心者が見た!英国ロイヤル・バレエ団のジゼル

2026年7月上旬、生まれて初めてバレエ全幕鑑賞をしました。

かつてガラ公演なら見たことがあります。バレエ作品の有名な部分だけ抜粋して踊ることをガラ公演というそうです。

私にとってガラ公演はあまりおもしろいものではありませんでした。私は舞台を見ること自体は好きだけれど、おそらく物語を見に行っているんだと思います。だから、細切れというのは性に合いませんでした。それにガラ公演の舞台はなんだか殺風景に見えてどうにもおもしろくないなと思ってしまいました。

私にバレエに関して知識はほとんどありません。幼少期にバレエに憧れていましたが、習うことは叶わず、それきり。

ですので、この人のここがいいとか、このジャンプがすごいとかそういうのはわかりません。

約2時間の公演、私は果たして起きていられるのか?と思っていました。バレエにセリフはありませんし。理解できるのだろうか、理解できなかったら眠たくならないか、不安でした。しかし、実際のところ夢中で見ているうちにあっという間に終わってしまいました。

私が初めて見たバレエ全幕公演は、2026年7月上旬、東京都渋谷区にあるNHKホールで行われた、英国ロイヤル・バレエ団による『ジゼル』でした。

主な配役は、
ジゼル マリアネラ・ヌニェス
アルブレヒト ウィリアム・ブレイスウェル
ヒラリオン テオ・デュブロイル

NHKホールに行くまで。ギリギリになっちゃった!!

NHKホールに行くのは結構大変でした。

まず都内のホテルの宿泊費が尋常ではなく高価だったため、神奈川に宿泊。東横INN横浜駅西口に泊まることにしました。

渋谷~横浜は乗り換えなしで行ける!よし!と思って。40分くらいかかりますけども。

渋谷駅には無事につきましたが、不慣れな東京。NHKホールはどこなんだろうと右往左往。駅の地図にハチ公方面にNHKホールがあったので、ハチ公をめざして歩き始めました。

地図アプリを見ていたのに方角を見失い、左に行くところを右に行ってしまって5分ほどぐるぐるして左だ!とわかって方向転換。

渋谷のスクランブル交差点を通りましたが、写真撮影する外国人が多くてびっくり。やっぱり観光スポットなんですね。

そしてどんどん坂を上がりました。地図を見ているときには、こんな坂の上とは知らなくて、心の準備ができていませんでした。渋谷駅を出た時にはとんでもない人混みでしたが、坂を上がるにつれて、皆それぞれの目的地に行き、前からいなくなるので、どんどん人が減っていきました。

タクシーで乗り付ける人が何人かいて、それが正解だよと思いました。7月の気温の高い中、おまけに坂の上ですからね・・・。

代々木公園前にたどり着いたものの、ここからどうやって行くのかがよくわからず。またしても右往左往しました。

周りの人が同じ方向に歩いていることから、きっとあっちなんだろうと当たりをつけて、同じように歩いて並木道を抜け左手にありました。

初めてのNHKホール。渋谷駅からNHKホールまでなんと30分もかかってしまいました。

到着したのは18:08

お手洗いに行ったところ大変な大行列で、時間がかかってしまいました。

座席もよくわからなくて迷いました。付近の人が係りの人に3階席はいったん出て階段を上がってくださいというようなことを言われているのをたまたま耳にして、あ、まだ2階なんだとわかりました。そこでさらに階段を上がって3階席へ。

座席にたどり着いたのは18:25頃でした。

座席は一番後ろの真ん中の方の席。

17:30開場、18:30開演なので、ギリギリでした。17:30頃に渋谷駅に着いたというのにこんなに時間がかかるとは・・・。

でもお手洗いに人が並びすぎていたから会場内がざわざわしていて、実際に開演したのは5分遅れくらいでした。

双眼鏡持って行った!

双眼鏡を買って持っていきました。

双眼鏡って倍率が高ければ高いほどいいのかなあと思いきやそんなこともなく、倍率が上がれば上がるほど視野が狭くなり、暗くなりがちなんだそうです。

倍率8倍の双眼鏡を買いました。⇒ビクセン (Vixen) 双眼鏡 8倍
そんなに高価なものでもなく、大丈夫なのかなあ?と思っていたのですが、これで十分見えました。

重さも160gで軽い!

倍率8倍でさえ視野は限られていて、あんまりにもジゼルとアルブレヒトが離れて踊っているとどちらかしか見えないなんてこともたまにありました。

これ以上は、もっと近い席にするしかないのかな?と思います。倍率を下げても見えなくなってしまいそう。

オペラグラスは観劇の前に借りることもできるのですが、私はぎりぎりに会場にたどり着いてしまいましたので、もし借りようと思っていたら時間が足りなかったかもしれません。会場の中でもオペラグラスを借りるブースを探さなければいけませんし。ちなみに、会場でレンタルしていたオペラグラスは倍率8倍でした。レンタル料1000円くらいだった気がします。保証金が5000円くらいだったような。きちんと返却すれば保証金は返ってくるそう。値段の記憶はあまり確かではありません・・・。

私が購入した双眼鏡を家で試しに使ってみたら全然大きく見えなくて、逆に小さく見えて、なんで?ってGeminiに質問したら向きが逆なんじゃないかと言われました。そんなわけないだろうと思いましたが、本当に向きが逆でした。

皆さまは絶対にそんなことはないと思うのですがお気をつけください。

ジゼルってどんな話?

ジゼルの初演は1841年のフランス。

第1幕

とある村に住むジゼルという名の女の子は母親と二人暮らし。ジゼルは踊ることが大好きだけれど、心臓が弱くて、母親から踊ることを制限されています。

そんなジゼルの住む村にロイスという名の男性が住み着き、ジゼルと恋仲になります。

しかし、それをよく思わないのがジゼルの母とジゼルの幼馴染の男性ヒラリオン。

実はロイスの本名はアルブレヒトといって、貴族なのに村人に身をやつして村に住み着いていたのです。

ある日、アルブレヒトの許嫁バチルドの一行が村に狩りにやってきます。アルブレヒトはジゼルの目の前にもかかわらず、許嫁のバチルドの手にキスして挨拶します。

さらにヒラリオンは小屋に隠されていた剣などを持ち出して、ロイス(アルブレヒト)の正体を暴きます。

こうしたことから真相を知ったジゼルはショックのあまり死んでしまいます。

ちなみに、アルブレヒトの許嫁の名前は、アルファベット表記ではBathilde。カタカナだとバティルダとかバチルダとか表記揺れがあるのですが、英国ロイヤル・バレエ団の香盤表ではバチルドなので、バチルドと書くことにします。

第2幕

ジゼルが住む村には結婚前に亡くなった女性はウィリという精霊になってしまい、夜な夜な現れて、そこを通りがかった若い男性を踊り狂わせて命を奪ってしまうという言い伝えがあります。

ヒラリオンは夜中にこっそりジゼルのお墓参りに行き、ウィリの群れと遭遇して追い詰められ、ついには崖から転落して死んでしまいます。

そしてアルブレヒトもジゼルのお墓参りに行き、ウィリとなってしまったジゼルと遭遇。

ウィリの中では女王ミルタがリーダー格で支配者。ミルタに踊らされるアルブレヒトですが、ジゼルは必死でアルブレヒトを庇います。

初心者の感想 第1幕

ジゼルのあらすじはなんとなく知っていたので、なんとかなるかなと思っていましたが、定期的にあれは何だろう?と思うことがあり、初心者にはハードルが高いのかも。

第一幕は昼間の感じ。

バレエの言語は体で表します。マイム。

冒頭で男性2人でコソコソ小屋に入っていくのを見て、私は、あ・・・恋人?と思ってしまいました。しかし、1841年に作られたバレエ。さすがにそんな先進的な描写があるわけもなく、実際は貴族(アルブレヒト)と従者(ウィルフリード)の2人。

アルブレヒトは農民のロイスと名乗り、村に住み着きます。この時に、農民に身をやつすため、貴族の服を脱ぎ捨てて農民らしい服に着替えます。小屋に入ったのも着替えのため。

服装が農民っぽくなったせいで、初心者の私としてはどっちがアルブレヒトかどっちがヒラリオンか区別がつかなくなって困りました。

ジゼルの幼馴染のヒラリオンは、ジゼルに好意を寄せており、ジゼルたち母娘にいろいろと支援をしているよう。ベルタ(ジゼルの母)はヒラリオンのことを気に入っており、ヒラリオンと手を組んで楽し気に立ち去る様子もありました。

ジゼルがふわっと出てきて少女にしか見えなくて驚きました。ヌニェスさんって1982年生まれじゃなかったっけ。

ベルタはしきりに手を頭の上でくるくるとして(手あそびの“いとまきまき”を頭上でする感じに近い。手のひらはパーでしたけど。)、両腕を前に突き出して、手のひらを上にして手を握りしめるという動きをしていました。頭上でくるくる=踊る、手を握りしめる=死ぬという意味で、あなたは心臓が弱いから踊りすぎると死んじゃうということを示していたようです。

ジゼルは結構出ずっぱり。村人の踊りのシーンでも椅子に座ってみています。そのうちヒラリオンに交替して、ジゼルの母ベルタと二人で仲良く見始めました。

ジゼルのバリエーション。ソロで踊るわけですが、今なんだ?と思いました。アルブレヒトの許嫁であるバチルド一行が来てからなんですね。

ジゼルが跪いてバチルドのドレスにキスしたのにびっくりしました。この作品ができた時代のことを考えると、身分差もあるし、触らないで!とか、汚い!とかならないのかな?調べてみると、かつては敬意を示す行為として服の裾にキスをする文化があったそう。

ジゼルが真実を知って死んでしまった時。

狂乱のシーン。急にパタリと死ぬわけではなくて結構走り回って死んじゃうんですね。

アルブレヒトがお前のせいだと言わんばかりにヒラリオンを指さしたのが胸糞悪かったです。アルブレヒトが撒いた種では?ジゼルに本気ならバチルドを突っぱねたらよかった。でも実際にはそんなことはできなかったわけです。

そしてアルブレヒトのこともヒラリオンのことも邪魔だ!!と言わんばかりに蹴散らしたジゼルの母ベルタ。気持ちはわかります。

幕間

幕間25分の休憩がありました。

休憩の間にキューキューと言っていたあの音はなんなんだろう。楽器ではなさそう。バレエならではなのかなあ。それとも舞台装置の音なんだろうか。

格安simだからなのかスマホはまるでつながらず、電波の表記のところはSOSマーク。

お手洗いは大渋滞。

バレエ鑑賞やっぱり女性が多い。

定刻だとまだまだざわざわしていて、数分遅れで始まりました。

初心者の感想 第2幕

第2幕。

第1幕は明るくて黄色い感じでしたが、第二幕は暗くて青い感じ。

表現しているのは夜の森、ジゼルの墓場。

墓にいるヒラリオンから。アルブレヒトではなくて、たぶんヒラリオン。実はまだ自信がない。

そしてウィリの群れ。これはウィリの女王ミルタだよね?たぶんジゼルじゃないと思う。第二幕では女性は皆真っ白ドレスなので見分けが不安。

ウィリに追い詰められていくヒラリオン。ウィリの群れにどんどん詰められて逃げ場をなくし、ふいに崖から落ちてしまいました。このとき客席では、まばらに拍手が起きました。ヒラリオンが退場した(死んだ)時に拍手するのものなのかよくわかりません。

ウィリの群れたちの踊りは、皆一斉に片足立ちで片足は90度上げてジャンプして前に進むものだからドッドッドッって足音が凄い。宣伝動画などでは足音しないんだなあと思っていましたが、あれは消されていたのか、調整されていたのか、なんなのか。とにもかくにも実際に見ると足音がするというのは新たな発見でしたし、臨場感がありました。

アルブレヒトもユリの花束を持って墓参りに来ました。

ユリの花をジゼルがばらばらと撒き散らして私はここにいるよと主張するシーンも。死んだから触れないこともないのかなあ。それともウィリの魔力なんだろうか。

アルブレヒトはさんざん踊らされるわけですが、ジャンプがやはりすごかった。足を前後に素早く入れ替えながらのジャンプ。そしてこのあと倒れこむでもなくクラクラしながらジゼルを迎えに行きます。ジゼルがジャンプするにあたってリフトしないといけないから。

アルブレヒトは2回ほど倒れこむシーンがありましたが、ジャンプの後はそれさせてもらえないんだなあと思いました。ダンサー的には何が良いのかわかりませんが。

そして夜明けの鐘が鳴って、ウィリたちは撤退。

朝日が差し込む中、ジゼルはアルブレヒトと抱き合いますが、ジゼルは腕と背中に空間を作ってアルブレヒトとくっつきませんでした。これはジゼルが死者であって、アルブレヒトとはもう直に触れ合うことができないという描写なのかなあと思いました。幻想的で素敵でした。

このあとジゼルは退場していき、アルブレヒトは墓にかけていたマントを回収して帰ります。

カーテンコール

カーテンコールは、数えていませんが、何回出てくるんだろうと思うくらい何度も出てきてくれました。

何度も幕が上がったり、下がったり。

幕からひょっこりジゼル役のマリアネラ・ヌニェスさんとアルブレヒト役のウィリアム・ブレイスウェルさんが登場したりもしました。

そして係りの人によりヌニェスさんとブレイスウェルさんにお花が渡されました。オーケストラは生演奏でしたが、指揮者も登壇していましたね。

鳴りやまない拍手、ブラボー声。すさまじかったです。

初心者的に思うこと

初心者的に思うこと。

このジゼルという作品結構ツッコミどころ満載なんですよね。

でも、このバレエ作品は、ジゼルのアルブレヒトを思う純真さであったり、第二幕でのウィリのシーンの耽美さが売りなんだろうなと思います。

あと、ジゼルの狂乱の場面も見ものかもしれません。

真っ白なウィリの群れが踊り狂う姿は大変に美しいものでした。

舞台はファンタジー。リアリティを求めるものではないと思います。

だって舞台ってライオンキングでは人間がライオンを演じることさえあります。

枝葉末節。細かいことをいうべきではないというのは重々承知なんです。

でも、どうしても見ていていろいろな疑問がもたげてきて仕方がありませんでした。

・アルブレヒトっていつジゼルに恋に落ちたの?
これは作中では特に触れられていないんです。バチルドが村に遊びに来たように、アルブレヒトも狩りで村に来る予定があったのでしょうか。しかし、村人に変装するレベルで居つくのはこの時代の貴族としては異端すぎます。それほどまでにジゼルと何かあったのでしょうか。

・なぜ夜に墓に行く?
この時代の森とか墓とか、街灯もないし、電気もないし、本当に真っ暗です。
アルブレヒトもヒラリオンも打ち合わせしたわけでもないのにわざわざ夜の墓に行くあたりが、変すぎます。
特にヒラリオン。この村の人で、伝承を知っているはずなぜ夜の墓に行っちゃったんでしょう。
ジゼルが亡くなったことに関与したから?でもアルブレヒトの正体を暴いたらジゼルがショックを受けただけでヒラリオンって別に悪くないんですよね。ジゼルは庇ってくれないし、全然ヒラリオンに興味ないっぽいし、なんだか終始不憫。
アルブレヒトはこのあと普通に城に帰って許嫁と結婚して当たり前に暮らしてそう。

・ジゼルの病ってなに?
ジゼルの病って何なんでしょうね。この時代の村娘がまともに医師の診察を受けられたと思えないので。
なんとなく、ジゼルのママが心臓弱いのよって主張しているのみ。
鉄欠乏性貧血?それとも不整脈なのかなあ。心臓病のわりには元気・・・いやそこは突っ込んだらダメか・・・。

・村人の踊りのレベルが高すぎる!
村人全員がこんなに踊れる村はおかしい。
まあリアリティなんて求めてないですもんね。舞台はファンタジー。
バレエ団事情として、これからトップに押し上げたい人達に出番を設けたいというのがよくわかりました。

・剣あぶな!!
ジゼルは狂乱のシーンで剣をがっしりつかんで引きずりまわすんですけど、危ないぞ!!本物だったら手を切るぞと思って見ていました。本物の剣だったらまあまあ重いのであんなに引きずりまわせないでしょうし。流血事件で失血死になってしまうかもな・・・なんて。

とにもかくにもこれからもバレエ公演見に行きたいと思いました。バレエ知識がないから楽しめないなんてことはありませんでした。

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