きらきら星の原曲のメロディーが生まれたのは、1740年頃のフランス。
初期のメロディーを考えたのは不詳の羊飼いであったといわれています。
この曲は、1761年に発表されました。
その後、これまた誰が書いたかわからない、愛の詩”La Confidence naïve”から起草した歌詞が付けられたAh! vous dirai-je, mamanという歌が発表されました。1774年のことです。
Ah! vous dirai-je, mamanは、『ああ!お母さん』とか『お母さん、聞いて』などと訳されることがあります。
“Ah! vous dirai-je, maman”
歌詞はこのような感じです。
Ah ! Vous dirai-je maman
ねえ、お母さん、聞いてほしいのCe qui cause mon tourment?
私が何に苦しんでいるかをPapa veut que je raisonne
お父さんは私に頭を使って考えてほしいと思っているComme une grande personne
まるで大人のようにMoi je dis que les bonbons
私はお菓子の方が価値があると思うの。Valent mieux que la raison.
頭を使って考えるよりね。
では、そのもととなった愛の詩とは?
『La Confidence naïve』直訳するなら『素朴な内緒話』
Ah ! vous dirai-je, maman,
ねえ、お母さん。聞いてほしいの。Ce qui cause mon tourment ?
私が何に苦しんでいるのかを。Depuis que j’ai vu Silvandre,
シルヴァンドルに出会ってからMe regarder d’un air tendre ;
優しい目で見つめられてからMon cœur dit à chaque instant :
私の心はいつも騒ぐの« Peut-on vivre sans amant ? »
“恋人がいなくて生きていける人はいるの?”
L’autre jour, dans un bosquet,
ある日、木立でDe fleurs il fit un bouquet ;
彼は花束を作ったのIl en para ma houlette
それで彼は私の仕事用の杖を飾ってMe disant :
私にこう言ったの。« Belle brunette,
“美しいブルネットの髪の人よFlore est moins belle que toi ;
春と花の女神・フローラでさえあなたの美しさには及ばない
L’amour moins épris que moi.
私は誰よりもあなたを愛しているÉtant faite pour charmer,
あなたはとても魅力的だIl faut plaire,
喜ぶべきだil faut aimer ;
楽しむべきだC’est au printemps de son âge,
青春が始まっているのは確かなことなのだからQu’il est dit que l’on s’engage.
それに乗り遅れてはいけないSi vous tardez plus longtemps,
あなたがこれ以上グズグズするのならOn regrette ces moments. »
この瞬間を後悔することになる”
Je rougis et par malheur
私は赤くなって、そして不運なことにため息をついたのUn soupir trahit mon cœur.
心にもないため息をついたのよLe cruel avec adresse,
残酷な彼は抜け目なくProfita de ma faiblesse :
私の気の弱さを利用したHélas, maman !
ああ、お母さん!un faux pas
ひとつの失敗がMe fit tomber dans ses bras.
私を彼の腕の中に飛び込ませたの
Je n’avais pour tout soutien
頼りになるものはなにもなかったQue ma houlette et mon chien.
杖と犬だけよL’amour, voulant ma défaite,
愛の神は私の敗北を願ってÉcarta chien et houlette ;
杖と犬を遠ざけたAh ! qu’on goûte de douceur,
ああ!愛が心を大切にするときQuand l’amour prend soin d’un cœur !
人は甘い喜びを味わうのね
かなり大人っぽいなあという印象です。どう考えても、子供向けではないですね。
1781年か1782年。当時25歳のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが、この曲を編曲。Ah vous dirai-je, Mamanの12の変奏曲(K.265)を発表しました。
そして、1806年に発表されたのが、“Twinkle, twinkle, little star”でした。直訳するなら、『きらめく きらめく 小さな星』。Jane Taylorの“The Star”(星)という詩がもとになっています。
歌詞はこのような感じです。
Twinkle, twinkle, little star,
きらめく きらめく 小さな星よ
How I wonder what you are!
あなたはいったいだあれ?
Up above the world so high,
高い高いところで
Like a diamond in the sky.
お空のダイアモンドのように
Twinkle, twinkle, little star,
きらめく きらめく ちいさな星よ
How I wonder what you are!
あなたはいったいだあれ?
もとの“The Star”(星)
Twinkle, twinkle, little star,
きらめく きらめく 小さな星よ
How I wonder what you are!
あなたはいったいだれ?
Up above the world so high,
この世界の遥か上空で
Like a diamond in the sky.
空のダイアモンドのようにWhen this blazing sun is gone,
燃え立つ太陽がいなくなって
When he nothing shines upon,
輝かなくなると
Then you show your little light,
あなたは小さな光を見せる
Twinkle, twinkle, through the night.
きらめく きらめく 夜を通してThen the traveller in the dark
そして暗闇にいる旅人が
Thanks you for your tiny spark;
小さなきらめきに感謝する
He could not see where to go,
どこに行くか見ることができない
If you did not twinkle so.
もしあなたのきらめきがないのならIn the dark blue sky you keep,
紺碧の空にあなたは輝き続ける
And often through my curtains peep,
そして、私はしばしばカーテンからそっと透かし見る
For you never shut your eye
あなたが目を閉じることはない
Till the sun is in the sky.
太陽が空に登るまでAs your bright and tiny spark
輝き、小さなきらめきを見せて
Lights the traveller in the dark,
暗闇の中でも旅人を照らす
Though I know not what you are,
だから、あなたが何者であるかわかないけれど
Twinkle, twinkle, little star.
きらめく きらめく 小さな星よ
直訳するとこういう感じですが、これでは歌いにくいので、日本語では以下のように歌われることが多いです。
きらきらひかる おそらのほしよ
まばたきしては みんなをみてる
きらきらひかる おそらのほしよきらきらひかる おそらのほしよ
みんなのうたが とどくといいな
きらきらひかる おそらのほしよ
一気に子供向けになりましたね。おそらく、子供でもわかりやすい歌詞のおかげで、きらきら星は、知らない人がいないんじゃないかと思うくらいメジャーな曲になりました。