時々、生まれた季節に合わない名前の方がいます。
その理由はさまざまですが、
日本ではあまり好まれないことなのかなーと思ったりします。
清少納言の、随筆『枕草子』に“すさまじきもの”という記述があります。
すさまじきもの (略) 春の網代。三、四月の紅梅の衣。
網代は、冬の季語です。
梅の季節は春。
旧暦の呼び方はいろいろとあり、
十二月は、師走が有名ですが、梅がそろそろ咲き始める時期として梅初月(うめはつづき)と呼ぶこともあります。
また、二月は如月が有名ですが、“梅見月(うめみづき)”とか“梅つ五月(うめつさつき)”とか“梅つ月(うめつつき)”などと呼ぶことがあります。
着物は季節先取りが良いとされているので、紅梅の衣は、陰暦だと十一月~二月頃に着用するものとされています。
陰暦だと三月や四月は晩春から初夏にあたるので、三、四月の紅梅は時季外れになってしまいます。
そのために、冬の網代も、三、四月の紅梅の衣もすさまじきもの(興ざめだ)というのでしょう。
未だに時季外れの着物はあまり好まれません。
ちょっと早いくらいならいいようですが、時季から遅れているのは“粋じゃない”みたいです。
そういうわけで、生まれた季節に合わない名前は、清少納言にため息をつかれそうです。
もちろん、日常生活には全く支障ないと思いますが(よほど親しくならない限り、友人や知人に誕生日を尋ねませんよね?)、
例えば、サクラという名前の子に、春に桜の花を見上げながら、これが桜、あなたが生まれた季節に咲く花で、とても素敵な花だと思うから・・・なんて話しかけるのは理想的かもしれませんね。