玖 という字が名前に入る人がいますが、どのような印象がありますか。
そもそも玖とはどのような意味のある字なのでしょうか。
玖
総画:7画
音読み:キュウ、ク《名付け》
き、たま、ひさ《意味》
1.美しい黒色の石。
2.九の大字。《解字》
形声。「玉+(音符)久」。(漢字源より抜粋)
この字の意味は、黒色の石。
また、改竄を防ぐために、九の代わりに用いることがあります。
その他、玖と書けば、国名を表し、玖馬(キューバ)を意味することがあります。ちなみに、中国語ではキューバを古巴と書きます。
この字は、人名用漢字です。
第二次世界大戦後の1948年頃に、日本人の本名に使うことのできる漢字に制限がかかるようになりました。ただし、苗字や既に付けられた名前については規制の対象外です。現在、日本人の本名(下の名前)に使うことができる字は、常用平易な字、具体的には常用漢字と人名用漢字に限られています。
玖は1990年に人名用漢字に追加されました。つまり、日本人で本名に玖を持つ人は、苗字がそうであるか、1948年より前に生まれたか、1990年以降に生まれたか、改名したなどの特殊な事情がある人です。
玖は日常生活では使用頻度が高いとはいえず、やや難しい字と言えます。
しかし、漢字の組み合わせとしては難しくないので、王に久しいといえば通じるのではないでしょうか。正式には、偏は王ではなく玉の略体で、玉偏の字ですが。
調べてみると、名前に使う理由としては、読み間違えられにくいということが挙げられていました。久だと、ヒサと読む人がいますが、玖ならばクと呼んでくれるだろうと期待してのことのようです。意味というよりもただの当て字なのかもしれませんね。
この字の意味は黒い石。
黒という色は、何にも染まらない強い色です。
その黒という色について調べてみた所、このようなアンケートが見つかりました。
Q.あなたの好きな色は?複数ある場合は【最大3つまで】でお答えください。
Q.あなたが普段着ている服の色で多いものは?複数ある場合は【最大3つまで】でお答えください。
Q.「白」といえばどんな印象ですか?複数ある場合、【上位3つまで】選択してください。(牛乳、豆腐などモノではなく印象でお答えください)
「黒」といえばどんな印象ですか?複数ある場合、【上位3つまで】選択してください。(カラス、のりなどモノではなく印象でお答えください)
*「気分が落ち着く色は?」「異性の服の色で、好感を抱きやすい色は?」など“色”に関することをアンケート調査しました。
アンケート実施日時:2012年8月31日~9月6日/有効回答数:3,553https://chosa.nifty.com/hobby/chosa_report_A20120914/index.html
不思議なことに、男性は年齢を重ねるごとに黒が好きな人が減り、女性は年齢を重ねるごとに黒が好きな人が増えていく傾向にあります。
しかし、男女ともに黒を着る人は多いようです。モノトーンの服は無難だからでしょうか。
男性では、黒に落ち着き、闇、大人っぽさを感じる人が多く、女性では黒にクール、大人っぽさ、落ち着きを感じる人が多いようです。
では、子供ではどうでしょうか。
好きな色 複数回答(3つまで)
嫌いな色 複数回答(3つまで)
好きな色&嫌いな色
○ 調査方法
インターネット調査
○ 調査方法の概要
170万人を超えるモニター母集団から、本調査に協力していただける日本全国の小学生(1~6年生)の子どもを持つ保護者を抽出し、保護者付き添いのもとで、小学生本人に回答するよう依頼した。
また2014年3月時点の小学6年生対象調査のその後の調査(質問項目限定)のため、新中学1年生の子どもにも同様に調査を行った。
それぞれの学年で男子100人、女子100人、各学年男女計200名、全7学年合計1400名、それぞれの保護者合計1400人、(1400組)の回答が集まったところで、調査を終了した。
○ 調査時期
2014年9月20日~24日
○ 調査協力
株式会社クロス・マーケティングhttps://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/201409/chapter4/07.html
男の子だと、青に次いで、黒・緑が人気の色。
一方で、女の子は黒が嫌い。でも、年齢を重ねるごとに黒が嫌いな人が減っていきます。
男性の場合、幼いころはそれほどに黒が好きな人はいないけれども、年齢を重ねるごとに黒が好きな人が増えていき、30代頃にピークを迎える。そして、その後は黒よりも白、青、緑などが好きな人が増える。
女性の場合、幼いころは黒が嫌いな人が多いけれども、年齢を重ねるごとに黒が好きな人が増える。
そのような印象を受けました。
検索してみると、黒に喪の印象を抱く人もいるようでした。
確かに、現代の喪服といえば黒。
しかし、男性が慶事に黒を身に着けることはよくあります。羽織袴や燕尾服など。
また、結婚式で新郎新婦の母親の服装が黒留袖というのはよくある光景ですし、参列者の女性が黒いドレスというのもまた珍しくありません。
あるいは、武家の女性の婚礼衣装に黒地の引き振袖というものがあり、それは今でも用いられています。
慶事の黒と喪服の黒は色味が違いますが、しかし、必ずしも黒=喪というわけではないのですね。
そもそもかつては日本の葬儀といえば白が基本だったと言われています。今でも死に装束といえば白です。
このように、黒という色に対して人々はさまざまな印象を抱くようです。
女性ならば、年齢を重ねるごとに玖という字を好きになるかもしれません。男性ならばどうでしょうか。
玖が入る名前は人気がある?
明治安田生命の名前ランキングは、その年生まれた子供に付けられた名前のうち人気のものを、1912年からは10位まで、2004年からは100位まで発表しています。
玖が入る名前はどうでしょうか。
男の子の名前ランキングでは、莉玖、吏玖、理玖がランキング入りしたことがあります。
莉玖 | 吏玖 | 理玖 | |
年 | 順位(男の子)/表記 | ||
---|---|---|---|
2004年 | 59位 | – | – |
2009年 | 85位 | – | – |
2010年 | – | 100位 | – |
2014年 | – | – | 96位 |
女の子の名前ランキングでランキング入りしたことがあるのは、美玖のみで、2004年に61位でした。
黒い石という意味合いがなかなか使う人を選ぶのか、よく名前に使われているという印象ではありません。
ところで、莉玖、吏玖、理玖はどれもリクと読むのでしょうか。
近年、男の子にリクやサクという音が人気です。ここに玖の字が用いられている可能性はあります。
明治安田生命の名前ランキングでは、表記を考慮せず、読み方のみを考慮したランキングを2004年から50位まで発表しています。
リク | サク | |
年 | 順位(男の子)/表記 | |
---|---|---|
2004年 | 10位 | – |
2005年 | 12位 | – |
2006年 | 5位 | – |
2007年 | 6位 | – |
2008年 | 6位 | – |
2009年 | 5位 | – |
2010年 | 8位 | – |
2011年 | 16位 | – |
2012年 | 10位 | – |
2013年 | 7位 | – |
2014年 | 5位 | – |
2015年 | 6位 | – |
2016年 | 6位 | – |
2017年 | 5位 | – |
2018年 | 6位 | 38位 |
2019年 | 5位 | 46位 |
2020年 | 10位 | 31位 |
その他、2020年の読み方のランキングで50位以内に入ったもののうち、クが付くものは、男の子ではリクト(29位)、タクミ(38位)、女の子ではサクラ(16位)くらいです。3音の名前に漢字3文字当てて使うケースも考えられます。
玖という字が入る有名人
玖と言う字は実際にどのように名前に用いられているのでしょうか。
男性
○三浦 肆玖楼(みうら しくろう)
1890年9月21日~1961年。農学者。
○團 伊玖磨(だん いくま)
1924年4月7日~2001年。作曲家、エッセイスト。
○佐藤 玖光(さとうくにみつ)
1945年7月11日生まれ。元プロ野球選手。
○弓 哲玖(ゆみ あきひさ)
1958年~2013年。歯科医師。
○納谷 和玖(なや かずひさ)
1973年11月22日生まれ。元騎手、現調教師。
○京典 和玖(きょうてん わく)
2000年7月31日生まれ。俳優。
○九部 玖凛(くぶ くりん)
漫画家。
女性
◇理玖(りく) / 香林院(こうりんいん)
*当時用いられた名乗りではないが、現代では大石りくと呼ばれることがある。ひらがなでりく、漢字で理玖などと記され、本名はよくわからない。
赤穂藩家老大石良雄の妻。
◇鳥飼 玖美子(とりかい くみこ)
1946年3月21日生まれ。通訳者、教育者。
◇雨宮 玖二子(あまみや くにこ)
*芸名。
1955年4月27日生まれ。声優。
◇鳥越 未玖(とりごえ みく)
1992年10月16日生まれ。元バレーボール選手。
◇大西 亜玖璃(おおにし あぐり)
1997年5月2日生まれ。女優、声優、歌手。
◇金村 美玖(かねむら みく)
2002年9月10日生まれ。アイドルグループ・日向坂46のメンバー。
◇浦邉 玖莉夢(うらべ くりむ)
バレエダンサー。
グローバル
○鄚 玖 /Mo Jiu /Mạc Cửu
1655年~1736年。カンボジアとベトナムの間で重要な役割を果たした華人の探検家・開拓者。
○李 玖 / り きゅう / Yi Ku / 이 구
1931年12月29日~2005年。李王垠の第2子。
父は大韓帝国の元皇太子で李王である李垠、母は日本の皇族である方子女王。
○梅 葆玖/Mei Baojiu
1934年3月29日~2016年。現代京劇アーティスト。
など。
中国語でも同じように、石や九などの意味で用いられているようです。