koreho菊が名前に入る人がいますが、どのような印象がありますか。
そもそも菊とはどのような意味のある字なのでしょうか。
菊
総画:11画
音読み:キク 訓読み:きく
《名付け》あき、ひ《意味》
草の名。美しい花が秋に開き、香りが高い、種類が多く、野生のものと栽培されたものがある。邪気をはらい命をのばす効果があるとされる。《解字》
会意兼形声。下部の字は、手の中に米をまるめてにぎったさま。聞くはそれを音符とし、艸を加えた字で、多くの花をひとまとめにして、まるくにぎった形をしたはな。(漢字源より抜粋)
この字の意味は、植物の“きく”。
菊は常用漢字です。中学校で習う字とされているので、比較的平易な字と言えます。
特に悪い意味のある字ではありません。
正式に定められたわけではありませんが、日本の国花は菊と桜と言われることがあります。菊は天皇家の紋で、日本人の旅券(パスポート)の表紙に描かれるのも菊です。
観賞用のキクは奈良時代に中国大陸より伝えられた。高潔な美しさが君子に似ているとされ、梅、竹、蘭と共に四君子とされた[1]。文学上は、『万葉集』には詠まれておらず、『古今和歌集』、『源氏物語』などから登場する。平安時代には、陰暦9月を菊月と呼び、9月9日を「重陽の節句」「菊の節句」とし、菊花酒を飲む「菊花の宴」「菊花の杯」で邪気を払い、長命を祈った。菊文様も吉祥文様として、好んで装束に用いられた。
鎌倉時代には、後鳥羽上皇がことのほか菊を好み、自らの印として愛用した。その後、後深草天皇・亀山天皇・後宇多天皇が自らの印として継承し、慣例のうちに菊花紋、ことに32弁の八重菊紋である十六葉八重表菊が皇室の紋として定着した[2]。
江戸時代には幕府により厳しく使用が制限された葵紋とは対照的に、菊花紋の使用は自由とされたため一般庶民にも浸透し、菊花の図案を用いた和菓子や仏具などの飾り金具が作られるなど各地に広まった。
(wikipedia)
しくんし【四君子】
(その高潔な美しさを君子にたとえていう)中国・日本の絵画で、梅・菊・蘭・竹の総称。
(広辞苑第五版より抜粋)
菊は仏花とされることがありますが、どうやらこれは明治時代辺りからの風習で、菊は長持ちするので長く仏壇に供えられるというかなり実用的な理由だと考えられているようです。
近年は、植物を名前に入れることがブーム。
明治安田生命の名前ランキングでは、2010年頃から名前に使われる人気の漢字ランキングを25位まで発表しています。
2020年の男の子の名前に使われる漢字ランキングでは、蒼が9位で、樹が25位。
蒼は艸に倉で、倉に取り込んだ牧草の色を表すと言われています。樹はたってはえている“き”の意味。
2020年の女の子の名前に使われる漢字ランキングでは、花が1位で、菜が2位、奈が3位、莉が6位、咲が10位、桜が14位、葵が17位、華が18位、葉が20位、茉が22位でした。
花は艸に化で植物の変化の激しい部分、はなを表すと言われています。菜はなっぱ、奈は古代中国ではリンゴ、茉莉はジャスミン、咲は花が開くこと、桜は植物のさくら、葵は植物のあおい、華は芯のくぼんだまるいはな、葉は葉っぱを表します。
共通するのは使いやすいかどうか。
人名では樹はキ、花・華はカ、菜・奈はナ、莉はリ、茉はマ(*人名における特殊な読み方)、咲はサキ(あるいは訓読みの咲くからサ)、桜はオウ(あるいは音読みのオウからオ)、葉はハと読むことが多いです。また、葵は音読みのキが使われることがあります。一音だとかなり名前に使える範疇が広がります。
蒼に関して言えば、音読みのソウも訓読みのアオも人気の響き。
その点、菊はどうでしょうか。キクの読み方しかなく、ちょっと使いにくいのかあまり名前に使われている印象はありません。
実際、明治安田生命の名前ランキングでは、その年に生まれた子供に付けられた名前のうち人気のものを、1912年からは上位10位までを、2004年からは上位100位までを発表しています。菊が付く名前は一度もランキング入りしたことがありません。
あるいは、明治以降に天皇が絶対的な存在となり、その家紋に使われていることから恐れ多い存在になってしまったのかもしれません。もしくは仏花として世間一般に広く知られたことが原因なのかもしれません。
明治元年2月9日(1868年3月2日)、諸藩の宮門警衛に際して、旗・幕・提灯等に菊花紋章を使用するよう布達された。その後、「十六葉八重表菊」が公式に皇室の紋とされたのは、明治2年8月25日(1869年9月30日)の太政官布告第802号である。同布告は、親王家の菊花紋として十六葉の使用を禁止し、十四葉・十五葉以下あるいは裏菊などに替えることを定めた。また、1871年(明治4年)6月17日の太政官布告第285号で、皇族以外の菊花紋の使用が禁止され、同第286号で、皇族家紋の雛形として十四葉一重裏菊が定められた。その後、1926年(大正15年)に制定された皇室儀制令(大正15年皇室令第7号)第12条[6]、第13条[7] によって正式に定められている。
明治元年3月28日(1868年4月20日)の「菊御紋並禁裏御用等ノ文字濫用禁止ノ件」(明治元年太政官布告第195号)で、提灯・陶器・貢物などに菊紋を描くことを禁止し、明治2年8月25日(1869年9月30日)の「社寺菊御紋濫用禁止ノ件」(明治2年太政官布告第803号)で、社寺で使用されていた菊紋も、一部の社寺[8] を除き一切の使用が禁止された。その後、徐々に社殿の装飾や幕・提灯には菊紋の使用を許され、1879年(明治12年)5月22日の「明治二年八月菊御紋禁止ノ布告前神殿仏堂ニ装飾セシ菊御紋ニ限リ存置ヲ許ス件」(明治12年太政官達第23号)で、一般の社寺でも神殿・仏堂の装飾として使用することが許されている。ただ、社寺以外の団体や個人による菊花紋章の使用は、引き続き厳しく制限された。
(wikipedia)
それとも落語のお菊の皿の影響があるのでしょうか?
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/enjoy/ranking/index.html
菊が入る名前の有名人は?
菊は実際にどのように名前に使われているのでしょうか。
日本書紀には菊理媛神(ククリヒメのカミ)という女神が登場します。
男性
○伊達 忠宗(だて ただむね)
*幼名は、虎菊丸(ときくまる)?
1600年~1658年。江戸時代前期の大名。
○池田 菊苗(いけだ きくなえ)
1864年10月8日~1936年。化学者。
○石井 菊次郎(いしい きくじろう)
1866年4月24日~1945年。外交官、政治家。
○下田 菊太郎(しもだ きくたろう)
1866年6月14日~1931年。建築家。
○山階宮 菊麿王(やましなのみや きくまろおう)
1873年7月3日~1908年。山階宮晃親王の第一王子。
○田代 菊之助(たしろ きくのすけ)
1896年10月11日~1953年。陸上選手。
○馬場 菊太郎(ばば きくたろう)
1905年~2001年。後鰓類学者。
○福島 菊次郎(ふくしま きくじろう)
1921年3月15日~2015年。写真家、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
女性
◇田上 菊舎(たがみ きくしゃ)
*本名は道(みち)?
1753年11月8日~1826年。俳人。
◇岡上 菊栄(おかのうえ きくえ)
1867年10月2日~1947年。社会福祉活動家。
◇山川 菊栄(やまかわ きくえ)
1890年11月3日~1980年。評論家・婦人問題研究家。
◇網野 菊(あみの きく)
1900年1月16日~1978年。小説家。
◇毛利 菊枝(もうり きくえ)
*芸名。
1903年11月3日~2001年。女優。
◇花柳 小菊(はなやぎ こぎく)
*芸名。
1921年2月26日~2011年。女優。
◇石井 菊代(いしい きくよ)
1954年4月2日生まれ。水泳競技選手。
◇内田 春菊(うちだ しゅんぎく)
*筆名。
1959年8月7日生まれ。漫画家、小説家、エッセイスト、女優。
◇中村 春菊(なかむら しゅんぎく)
1980年12月13日生まれ。漫画家。
◇石川 菊代(いしかわ きくよ)
1984年5月2日生まれ。総合格闘家。
その他
□尾上 菊五郎(おのえ きくごろう)
歌舞伎役者の名跡。
グローバル
男性
○焦 菊隐
1905年12月11日~1975年。中国の演出家。
女性
◇陳 樹菊(Chen Shu-chu)
1951年生まれ。台湾の慈善家。
◇Susanna Kwan/關 菊英(Gwaan Guk Ying)
1958年5月3日生まれ。香港の歌手、女優。
◇劉 雅菊(Liu Yaju)
1972年4月25日生まれ。中国のソフトボール選手。
◇楊 思菊(Yang Siju)
1973年4月19日生まれ。中国の長距離選手。
◇劉 秋菊(Liu Qiuju)/Chiu-Chu Melissa Liu
1974年12月15日生まれ。台湾の数学者。
◇李 菊(Li Ju)
1976年1月22日生まれ。中国の卓球選手。
◇李 梅菊(Li Meiju)
1981年10月3日生まれ。中国の砲丸投選手。
◇王 菊(Wang Ju)/Naomi Wang
1992年9月1日生まれ。中国の歌手。
◇鲍 珊菊(Bao Shanju)
1997年11月3日生まれ。自転車競技選手。
◇張 東菊(Zhang Dongju)
考古学者。
など。
他の漢字文化圏でも同じく植物の“きく”の意味で用いられています。
四君子と呼ばれるほどの植物なので名前に菊を持つ人は世界中にいるようです。