子供の名前というのは概ね時代を反映するものであるようです。
昭和に改元したときに、昭の字が大人気になったり、戦時下に勝という字に人気が出たりするなど、様々なブームが起きました。
では昨今の女の子の名前で人気のある字というのは、どういうものなのでしょうか。
たまひよのサイトによると、2018年の名前に使われる漢字ランキングは
1位から花、結、奈、愛、莉、菜、乃、美、心、咲・・・と続きます。
花、奈、咲、莉、菜、咲は植物に由来する字。
乃は特筆するような意味はありませんが、最後に使う字として人気なのでしょう。
心と結は人と人の結びつきを連想させます。
そして美は美しくあれという願いが感じられます。
昨今は花鳥風月に由来するような名前が多くみられますが、競争の激化した現代において“癒し”が求められているのかもしれません。
一方で、心や結は核家族化と情報化社会が進む中、希薄な人間関係に不安を感じている人々の様子を示しているのかもしれません。
そんな中で、
女の子の赤ちゃんの名前 ランキングで凛が5位、凜が12位
女の子の赤ちゃんの名前 読みランキングでリンが7位
女の子の赤ちゃんの名前 使用する漢字のランキングで凛が40位
にランクインしています。
ちなみに、凜が正字体で、凛が俗字体です。
つまり、凜が元の形で、それを変形したのが凛です。右下の部分が禾か示かが違うところです。
以前はJIS規格の問題で、正字の凜をパソコン等で変換することが困難でした。俗字の凛は変換できても正字の凜は変換候補にさえ挙がらないということさえありました。そうした事情から、不便なので俗字の凛も名前に使えるようにしてくれという声が高まり、正字の凜だけでなく俗字の凛も人名用漢字に加わることとなりました。正字の凜が人名用漢字に加わったのは1990年のこと、そして俗字の凛が人名用漢字に加わったのは2004年のことです(ただし、戦前は名前に使える漢字に制限はありませんでした)。とはいえ今時のパソコンやスマートフォンでは凜も凛も難なく変換できるようになっていますが・・・。
この字の意味は凍えるような寒さ。凍れるような寒さから身が引き締まることを言います。
花鳥風月だったり、人と人の結びつきを重んじるような他の名前とは雰囲気があまりにも異なるように思います。
凜/凛という字から連想するのは自立したタフな女性。
ではこの名前に人気が出たのはナゼ?
一般的にこの名前に人気が出たのはドラマの影響と言われています。
2004年に『僕と彼女と彼女の生きる道』というドラマが大人気となりました。主演は、草彅剛さん。そしてその娘役に美山加恋さん。その美山加恋さんの役名が“凛”でした。
2004年と言えば、凛が人名用漢字に加わった年でもあります。
でも、実は“凜”がはじめて名前ランキングのトップ10入りしたのは2002年のことなのです。ということはドラマは関係がないようです。
人気の名前だからドラマ制作者が役名に導入したという方が正しいかもしれません。
21世紀がいよいよスタートし、新時代を生きる女性にと付けるようになったのかもしれませんね。