【名付け】紘という字は名前に良い字？悪い字？

紘という字が名前に入る人がいますが、どのような印象がありますか。

そもそも紘とはどのような意味があるのでしょうか。

紘
総画:10画
音読み:コウ、オウ
訓読み:つな、ひろい
《名付け》
つな、ひろ、ひろし

《意味》
1.冠の右からあごをめぐって左にわたしたひも。また、磬(楽器)をかけるひも。
2.つな。張りわたしたつな。
3.つなを張る。
4.ひろい。

《解字》
会意兼形声。右側は∠(ひじをはった形)に手のかたちをそえた字で、肱の原字。わくを広げて張る意を含む。紘はそれを音符とし、糸を加えた字で、中をあけて外に張りわたすひも。

(漢字源より抜粋)

参考:紘の書き順

この字の意味は、ひもやつな。

この字を使った有名な言葉に八紘一宇があります。

はっこういちう【八紘一宇】

(「宇」は屋根の意)世界を一つの家とすること。太平洋戦争期、日本の海外進出を正当化するために用いた標語。

(広辞苑第五版より抜粋)

はっこう【八紘】

四方と四隅。地のはて。転じて、天下。全世界。

(広辞苑第五版より抜粋)

つなを八方に張るようなイメージからできた言葉なのでしょうか。

第二次世界大戦後の1948年頃に、日本人の本名に使える漢字に制限がかかるようになりました。ただし、苗字や既に付けられた名前については規制の対象外です。現在、日本人の本名(下の名前)に使える漢字は、常用平易な字、具体的には、常用漢字と人名用漢字に限られています。紘は1976年に人名用漢字に加わりました。

つまり、日本人で紘を本名に持つのは、苗字がそうであるか、1948年より前に生まれたか、1976年以降に生まれたか、改名したなどの特殊な事情がある人です。

紘という字で問題になるのは、わかりにくいということ。確かに説明の難しい字です。おまけに、よく似た字に、“糸広”の絋という字があります。この字は、“わた”という意味があります。紘の右側を広にしてしまう人がいるとか。ちなみに、絋と言う字は現在、日本人の本名(下の名前)に使うことができません。

紘という字について、八紘一宇から戦争のイメージを持つ人もいます。紘という字は、人名を除けば、日常生活で使われることがほぼなく、歴史の授業等でこのスローガンが有名なためです。

ただ、もともとの意味は、ひもやつなです。良いような悪いような、何とも言えません。この字にどのような意味を見出すかは人によるのではないでしょうか。