よく名前に使われる奈の字の意味は?
奈は、祭祀に用いられる“からなし”の木を描いた象形文字だといわれています。
※語源は諸説あります。
“からなし”とは漢字で唐梨と書きます。
唐梨とはリンゴや、バラ科のカリンの意味です。
中国版のウィキペディアによると、古代、リンゴのことを「奈」や「林檎」と呼ぶこともあった、とあるので、奈はリンゴが正解なのかもしれません。
ちなみに、「奈」や「林檎」とは中国原産のリンゴのことを指します。
現代では西洋のリンゴが入ってきたり、西洋のリンゴと中国原産のリンゴを掛け合わせるなどの品種改良が行われた結果、もはや「奈」や「林檎」と呼ばれた中国原産のリンゴは絶滅の危機、あるいはもはや絶滅してしまったといわれているそうです。
今の中国では、リンゴは苹果と呼ぶのが一般的です。
また、バラ科のカリンも中国原産だそうです。
リンゴは品種によりますが、晩春~初夏にかけて真っ白な花を咲かせます。
花梨(カリン)は春から初夏にかけて白やピンクの花を咲かせます。マメ科の花梨とバラ科の花梨は全くの別物です。そして、唐梨が示すのはバラ科の花梨だと言われています。
今の中国では、それほど何かコレという意味がある字ではないようです。
中国でもそうであるようですが、日本でも奈の字は、さまざまな外来語の当て字に使われることがあります。当て字とは、漢字の持つ本来の意味を無視して、音を借りて漢字を当てはめることを言います。
例えば、奈翁(なおう)とはなんでしょう?
奈破崙と書くこともあります。
実は、これはナポレオンの当て字です。
また、魚のメジナに眼仁奈と当て字することもあります。
奈落というのもまた、サンスクリット語のナラクに漢字を当てたものです。ナラクとは地獄やどん底のことを言います。
そういうわけで、奈は決して不吉な字ではないということがわかりました。
奈落の奈というよりは、ナポレオンの奈と言ってみてはいかがでしょう?リンゴの意味があるのだよというのもかわいらしいですね。