女の子の名前の“さき”とはどういう意味?先?崎?

サキは女の子に人気の名前。

明治安田生命の名前ランキングによると、漢字表記を考慮しない、女の子の名前/読み方のランキングで、サキの響きは2004年以来ずっと50位以内に入り続けています(*2003年以前については非公表となっています)。

昨今は、アオイやサクラ、ハナといった植物に関する名前が人気です。サキには植物関連の字である、花が咲くの咲の字を当てることができます。また、紗季や紗貴などとさまざまな字を当てられることも人気の秘密でしょう。

2019年に発表された女の子の名前に使用される人気の漢字ランキングで咲は9位、希は15位、紗は25位に入っています。

2010年ころ、TBS系で放送されたテレビドラマ『JIN-仁-』が人気を博しました。原作は村上もとかによる漫画『JIN-仁-』。この作品の時代設定は幕末で、橘咲(たちばな・さき)という女性が登場します。

もちろん、この女性は架空の人物なのですが、サキという名前の女性はかなり昔からいたのではないかと思われます。

昔から、2音の名前の女性は多くいたようです。忠臣蔵で有名な大石良雄の妻・りくや、正岡子規の妹に律(りつ)、津田むめ(*後に梅子と改名)など。

この中に、サキがいても違和感はないでしょう。

では、サキとはどのような意味があるのでしょうか。

広辞苑にはこのように載っています。

さき【幸】

さいわい。繁栄。

(広辞苑第五版より抜粋)

有名な卒業ソングである『蛍の光』の2番にも幸(さき)と歌われています。もっとも昨今は『蛍の光』はあまり歌われなくなってしまったようですが。

〇漢字表記

止まるも行くも 限りとて
互に思ふ 千萬の
心の端を 一言に
幸くと許り 歌ふなり

〇かな表記

とまるもゆくも かぎりとて
かたみにおもふ ちよろづの
こゝろのはしを ひとことに
さきくとばかり うたふなり

留まるものも、行くものも、今日限りと、互いに何千何万と思う心の端を一言に『無事でいてくれ』と歌うのである。

ここでの『幸く(さきく)』は、無事で、つつがなくという意味だと言われています。幸く(さきく)、真幸く(まさきく)とは幸せに、無事にという意味です。

磐代(いはしろ)の 浜松(はままつ)が枝(え)を 引(ひ)き結(むす)び 真幸(まさき)くあらば またかへり見(み)む

〔意訳〕今、この磐代の浜辺の松の枝を結んで幸いを祈るのだが、無事であったならばまた帰ってきてこの松を見よう。

万葉集 有間皇子(ありまのみこ)

(全訳古語辞典 第三版より抜粋)

『蛍の光』の原曲はスコットランド民謡ですが、それに日本語の歌詞が付いて広く知られるようになりました。本当は3番4番までありますが、現代の学校で歌われることはまずありません。3番から先を見ると、軍歌であることがわかります。行くものとは出征する人で、無事でいてほしいということになるのですね。

何はともあれ、サキには幸せの意味があり、現代の口語で使われることはほとんどありませんが、文語では時折使われていることがわかりました。

また、漢字の咲のもともとの意味は笑うなのだそうです。口が付くことから確かにそのように見えますね。


総画:9画
音読み:ショウ 訓読み:さく、わらう、えむ
《名付け》
さき

《意味》
{動詞}わらう(わらふ)。えむ(ゑむ)。口をすぼめてほほとわらう。
〔日本語特有の意味〕さく。花が咲く。

《解字》
会意兼形声。夭(ヨウ)は、なよなよと細い姿の人を描いた象形文字。笑(ショウ)は、細い竹。細い意を含む。咲はもと、「口+(音符)笑」で、口を細めてほほとわらうこと。咲は、それが変形した俗字。日本では、「鳥鳴き花笑ふ」という慣用句から、花がさく意に転用された。「わらう」意には笑の字を用い、この字を用いない。

(漢字源より抜粋)

咲(さき)という名前は、
響きのサキが幸せ、繁栄の意味。咲の字はもともと笑うの意味で、今は花咲くの意味で用いられる。
と考えるとなかなか完璧な名前なのではないでしょうか?

参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/enjoy/ranking/

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