二葉/双葉(ふたば)という言葉がありますが、これは名前にふさわしい言葉なのでしょうか。
そもそも“ふたば”とはどのような意味のある言葉なのでしょうか。
ふたば【二葉・双葉】
1.発芽した時最初に出る葉。双子葉植物では2枚ある。〈季語:春〉
2.物事の初め。特に、人の幼児期。
3.香銘。(広辞苑第五版より抜粋)
二葉/双葉とは、発芽して最初に出る葉っぱ。そこから、物事の初めや、人の初めの幼児期に例えて使われることがあります。
この言葉を名前に入れることには賛否あります。
なぜなら、ふたばは成長するにつれて枯れていくイメージがあるからです。一般に、ふたばは扁平で、葉の発達にともなって枯れ落ちます。
また、人の幼児期に例えられることから幼い印象を抱く人もいます。幼稚園や保育園など幼児に関する施設の名前でよく見かける言葉でもあります。現代日本では一生を同じ名前で過ごす人が多いですが、一生ものの名前にふたばを入れると、成長するにつれ、似合わなくなってしまうのではないかと懸念する人がいます。
特に女性名の場合は、バの響きがきれいでないと感じる人もいます。苗字なら何とも思わないけれども、名前にわざわざ入れたくないという声も。二や双の字がかわいくないと思う人もいます。
二
総画:2画
音読み:ニ 訓読み:ふた、ふたつ《意味》
1.ふたつ。
2.ふたつにする。二分する。また、ふたつにわけて食い違わされる。
3.ふた。順番の二番め。
4.ふたたび。
5.別の違ったものであるさま。
6.ニ三と連ねて用い、いくつかの、いろいろの、の意をあらわすことば。(漢字源より抜粋)
双・雙
総画:[双]4画[雙]18画
音読み:ソウ 訓読み:ふた《意味》
1.ふたつ。ふたつならんだもの。ペアをなしているさま。
2.くつ・手袋のように二つでひとそろいのものを数えることば。
3.ならぶ。匹敵する。(漢字源より抜粋)
葉
総画:12画
音読み:ヨウ 訓読み:は《意味》
1.は。草木の茎・枝などについている薄く平らなもの。
2.花びら。また、ぺらぺらした薄いもの。
3.紙など薄いものを数えることば。
4.袋とじの書物で、紙の表裏の関係にある二ページ。
5.時代
6.薄っぺらで小さい。(漢字源より抜粋)
なお、双の旧字体は雙で、ふたばを雙葉と書くこともあります。ただし、この雙という字は現在、日本人の本名(下の名前)に使うことはできません。
第二次世界大戦後の1948年頃に、日本人の名前に使うことのできる漢字に制限がかかるようになりました。ただし、苗字やすでに付けられた名前については規制の対象外です。現在、日本人の本名(下の名前)に使うことのできる漢字は常用平易なもの、具体的には、常用漢字と人名用漢字に限られています。
雙の字は常用漢字でも人名用漢字でもないので名前に使うことができません。つまり、雙の字を本名に持つ日本人というのは、苗字がそうであるか、1948年より前に生まれた人かのどちらかです。
二や双、葉は義務教育期間中に習う常用漢字なので、問題なく名前に使うことができます。
ふたばという名前にはさまざまな意見がありますが、はじまりを感じさせる言葉であるという理由で好感を抱く人もいます。
ふたばはたくさんの養分を蓄えている部分でもあって、未来を期待させる言葉でもあります。
ふたばという名前の著名人に、
◇山川 二葉(やまかわ ふたば)
1844年~1909年。教育者。
◇井上 二葉(いのうえ ふたば)
1930年生まれ。ピアニスト。
◇木岡 二葉(きおか ふたば)
1965年生まれ。元サッカー選手。
◇木野 双葉(きの ふたば)
1996年生まれ。声優。
◇橘 二葉(たちばな ふたば)
1999年生まれ。歌手。
女性アイドルグループ「東京パフォーマンスドール」のメンバー。
◇伊藤 ふたば(いとう ふたば)
2002年生まれ。クライマー。
など。
女性名として用いられ、二葉などの表記が用いられるようです。
二番目に生まれた子という意味で二を使うこともあるのかもしれません。