朔という字が名前に入る人がいますが、どのような印象がありますか。
また、どのような意味のある字なのでしょうか。
調べてみました。
朔
総画:10画
音読み:サク 訓読み:ついたち
《名付け》
きた、はじめ、もと《意味》
1.ついたち。ひと月が終わって、暦の最初に戻った日。陰暦で月の第一日のこと。
2.こよみのこと。△朔(ついたち)を基準にして陰暦のこよみをつくることから。
3.北のこと。△十二支を方角に当てると、子(ね)の方角(北)はその最初に位することから。《解字》
会意。右側は、逆の原字で、さかさまにもりを打ちこんださま。また大の字(人間が立った姿)をさかさにしたものともいう。朔はそれと月を合わせた字で、月が一周してもとの位置に戻ったことを示す。(漢字源より抜粋)
この字は月が付く通り、月に関わる字で、太陰暦における初めの日(=新月の日)を指す言葉。
ちなみに、
2020年の新月(朔日、ついたち)は、
・1月25日
・2月24日
・3月24日
・4月23日
・5月23日
・6月21日
・7月21日
・8月19日
・9月17日
・10月17日
・11月15日
・12月15日
2021年の新月(朔日、ついたち)は、
・1月13日
・2月12日
・3月13日
・4月12日
・5月12日
・6月10日
・7月10日
・8月8日
・9月7日
・10月6日
・11月5日
・12月4日
このようになっています。
名付けに朔を用いることについて、ついたちや、新月に生まれたからという理由が挙げられます。
新月というと、夜に月の輝きがなくて真っ暗。
しかし、新月(英語ではNew moon)というように、これから、はじまりを感じさせる言葉でもあります。
朔が付く名前の有名人には、詩人の萩原朔太郎がいます。
11月1日(ついたち)に生まれた長男(*太郎には長男の意味がある)だから、朔太郎という単純明快な理由な理由で名付けられたそうです。
萩原朔太郎の生まれた1886年(明治19年)というと、もう太陽暦が採用されているので、新月ではなく、太陽暦のついたちで名付けられたようですね。
萩原朔太郎はこの名前について、朔日のサクでは伝わりにくいとか、作太郎と間違えられるとかで、不便に思っていたとか。
でも、萩原朔太郎の活躍により、萩原朔太郎のサクで、簡単に伝わるようになりました。
現代では、他人の名前を手書きする機会はすっかり減りましたから、たとえ書けなくても、パソコンやスマートフォンで“はぎわらさくたろう”で変換すればすぐに出てくるので不便はなさそうです。
とはいえ、萩原朔太郎が有名すぎ、朔太郎という名前を見ると、萩原朔太郎が浮かんで仕方がないという人もいるようです。
また、2001年に、片山恭一によって書かれた恋愛小説『世界の中心で、愛をさけぶ』が話題を呼びました。
2004年には映画化され、興行収入85億円、観客動員数620万人と大ヒット。主演を務めたのは大沢たかお(高校生時代を森山未來)と柴咲コウ(高校生時代を菅野莉央)。主題歌の平井堅が歌う『瞳をとじて』も大ヒット。
この作品の主人公が松本朔太郎(まつもと・さくたろう)で、サクと呼ばれていました。
近年、サクという名前が時折名前ランキングに登場します。
明治安田生命の名前ランキングでは、2004年から、表記のみを考慮したランキングを100位まで、読み方のみを考慮したランキングを50位まで発表しています。
朔 | |
年 | 順位(男の子) |
2018年 | 45位 |
2019年 | 43位 |
朔也 | |
年 | 順位(男の子) |
2012年 | 72位 |
朔太郎 | |
年 | 順位(男の子) |
2013年 | 90位 |
読み方のみを考慮したランキングではこのようになっています。ただし、表記は考慮していないため、朔の字が使われていない可能性があります。
サク | |
年 | 順位(男の子) |
2018年 | 38位 |
2019年 | 46位 |
決して上位というほどでもありませんが、名前ランキングに登場します。表記のみを考慮したランキングと読み方のみを考慮したランキングを合わせて考えると、朔が付く名前で人気があるのは、朔(さく)。
近年、リクやソラなど短い響きの名前が人気なので、サクもそこに加わったのでしょうか。
現代の日本人女性の平均初産年齢は30歳前後なので、『世界の中心で、愛をさけぶ』を思春期に見たことが何らかの影響を与えているのかもしれません。
サクくんとは呼びにくいという声もありますが、リクという名前が長年流行しているので、よっぽど言いにくくて困るというほどでもないのかもしれませんね。
この朔が付く名前は、新月やついたちという意味があることがわかりました。あまり、深い深い意味を込めた名付けではなさそうですが、名前負けといわれるなどのプレッシャーにならないように、あえて、このような名付け方をする人もいるようです。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/enjoy/ranking/index.html