名前によく使われる色ってありますが、本当はどんな色なのでしょうか?
ちょっと調べてみました。
赤系
桜色(さくらいろ)
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淡いピンク。
桜襲(さくらがさね)という色目があります。季節は春で、表に白、裏に赤、濃紫、二藍など諸説あります。
桃色(ももいろ)
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桜色よりちょっと濃いめのピンク色。
桃は、襲(かさね)の名前でもあります。季節は春で、表に薄い紅、裏に萌黄。
紅梅色(こうばいいろ)
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やや紫がかった桃色。平安貴族が愛した梅の花の色。
紅梅襲(こうばいがさね)という色目があります。季節は初春で、表に紅色、裏に紫/蘇芳。
ただし、晩春まで着ていると、“すさまじきもの”と言われてしまうようです(枕草子より *清少納言)。
紅色(べにいろ/くれないいろ)(旧仮名遣いで、くれなゐ)
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鮮やかな赤色。
紅の薄様(くれないのうすよう)とは襲(かさね)の色目の名。上から次第に薄く紅色をぼかしたもの。
紅菊(くれないぎく)も襲(かさね)の色目の名。季節は秋で、表は紅、裏は青。
薔薇色(ばらいろ/そうびいろ/しょうびいろ)
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鮮やかな薄紅色。
薔薇色の人生なんて言って、幸福・喜び・希望に満ちた状態を表すこともあります。
戦後に人名に使える漢字に制限がかかるようになり、薔も薇も戸籍上の名前に使えなくなりました。戦前生まれなら、薔薇(ちなみに古語ではショウビやソウビと呼ぶそうです)って名前の方や、薔や薇の字を使った名前の方がもしかしたらいるかもしれません。
薔薇は襲(かさね)の色目の名前でもあります。季節は夏で、表は紅色、裏は紫色。
緋色(ひいろ) 緋(あけ)
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茜染の中でも精製を繰り返して色を明るくしたもの。鮮やかな色。
茜色(あかねいろ)
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茜(あかね)色。
暗赤色。沈んだ赤。夕焼けの色?と思っていましたが、ずっと暗い色を指すようです。
黄~橙~茶
胡桃色(くるみいろ)
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胡桃の実の色。暗い黄褐色。
伽羅色(きゃらいろ)
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淡い黄褐色。
伽羅とは香木の種類。沈香の最上の種類。日本で最も珍重されたことから、よいものを誉めていう言葉でもあります。
榛色(はしばみいろ)
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ヘーゼルナッツの色。落ち着いた黄褐色。
英語圏ではやや緑がかった茶色~薄茶色の目をヘーゼルアイというそうで、日本では榛色の目と訳されることが多いです。
琥珀色(こはくいろ)
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琥珀(こはく)色。
黄味を帯びた飴色。
琥珀とは樹脂が地中で固化してできた化石や宝石のこと。このため昆虫や葉などが混入することも。
英語圏ではアンバー(amber)と呼ばれる目の人がいて、日本では琥珀色の目と訳されます。黄色や金色に見える目のことを指すそう。アンバーは英語圏の女性名でもあります。
橙色(だいだいいろ)
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柑橘ダイダイの色。目が覚めるような鮮やかな色。
朱色(しゅいろ/しゅしょく)
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黄色と赤の中間。五行で夏は赤を指すことから、朱夏(しゅか)とは夏の異称。
杏色(あんずいろ)
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杏とは春に花咲かせる植物ですが、杏色は花ではなく、実の淡いオレンジ色を指すようです。
菜の花色(なのはないろ)
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菜の花のような鮮やかな黄色。目が覚めるような鮮やかさ。
古代中国において黄色は非常に高貴な色とされました。しかし、現代では悪い意味にシフトしてしまったようです。卑猥な感じがするのだとか。
母が黄色の救急車という都市伝説の話をしていたことがありますが、日本でもあんまり好まれていないのか、それとも都市伝説でしかないのかちょっとわかりません。
緑系
海松色(みるいろ)
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海藻の海松(ミル)と同じ色。
茶色味を帯びた深い緑。オリーブグリーン。
襲(かさね)の色目を指すこともあります。
渋い色であることから、時代が下って江戸時代の文化人にも好まれました。
若菜色(わかないろ)
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山菜の色。淡い緑色。
若葉色(わかばいろ)
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淡い黄緑色。
緑色(みどりいろ)
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新緑の鮮やかな色。
常磐色(ときわいろ)
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深い緑色。
常磐とは常に変わらないこと、永久不変なことを指します。
常磐色は常に変わらない常緑樹の緑色のこと。
千歳緑(ちとせみどり/せんざいみどり)
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松の葉の緑のような濃く暗い緑色。
萌黄色(もえぎいろ)
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萌黄色
鮮やかな黄緑。
萌葱色(もえぎいろ)
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萌葱色(もえぎいろ)。
葱の芽のような緑色。
戦後、名前に使える漢字を制限されるようになり、葱の字は名前に使えない字になってしまいました。戦前生まれの方に萌葱さんが存在するかもしれません。
萌葱/萌黄は襲(かさね)の色目の名。表・裏ともに萌葱色/萌黄色。もしくは表は薄青、裏は縹色(薄い藍色)とも。
翡翠色(ひすいいろ)
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エメラルドグリーン。
翡翠とはカワセミのこと。翡は雄、翠は雌。また、カワセミの羽のように美しいもののたとえ。あるいは宝石の名前。
戦後、名前に使える漢字を制限されるようになり、翡の字は名前に使えない字になってしまいました。戦前生まれの方に翡翠さんが存在するかもしれません。
緑~青
千草色(ちぐさいろ)
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緑がかった淡い青。千草とは種々の草、たくさんの草を指す言葉なので、本来、これと一言に言える色ではないようです。
蒼色(そうしょく)
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国語辞典によると、あおあおとした色。
漢和辞典によると、くすんだあお。
蒼は草木があおあおと茂った様子を指します。
雲外蒼天という言葉もありますが、どちらかといえば緑色を指すのかもしれません。
碧色(へきしょく)
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辞書で調べると、アオミドリと出てきます。訓読みに、アオとミドリがあり、どっちともいえない微妙な色合いを指すようです。
青系
空色(そらいろ)
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晴天の空の色。
天色(あまいろ)
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鮮やかな青。
浅葱色(あさぎいろ)
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浅葱色(あさぎいろ)。
薄い藍色。
新選組のイメージがあります。
神職では、袴の色で階級が分かるそうです。
上から順に、特級・一級・二級上・二級・三級・四級の六等級で、このうち、三級・四級の人が身に着ける袴が浅葱色。
戦後、名前に使える漢字を制限されるようになり、葱の字は名前に使えない字になってしまいました。戦前生まれの方に浅葱さんが存在するかもしれません。
藍色(あいいろ)(旧仮名遣いで、あゐいろ)
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藍色は暗い青色。
出藍の誉れ。青は藍より出でて藍より青し。弟子(青)が師(藍)を追い越すこと。
藍染と検索すると藍染一揆が出てきます。藍染はなかなかに複雑な背景を持つのかもしれません。
紫
藤色(ふじいろ)(旧仮名遣いで、ふぢいろ)
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藤色(ふじいろ)。淡い青みがかった紫色。
藤襲(ふじがさね)という色目があります。季節は晩春から初夏で、表は薄紫、裏は萌黄。
菫色(すみれいろ)
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菫(すみれ)色。春に咲く菫と同じ青みの濃い紫色。
菫襲(すみれがさね)という色目があります。季節は春で、表は紫、裏は薄紫。
瑠璃色(るりいろ)
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紫がかった青色。
瑠璃とは宝石のこと。仏教において七宝の一つ。
また、襲(かさね)の色目。浅葱色の異称でもあります。
竜胆色(りんどういろ)(旧仮名遣いで、りんだういろ)
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竜胆色。秋に咲く竜胆の花と同じ薄い青紫。
竜胆とは襲(かさね)の色目のこと。季節は秋で、表は蘇芳、裏は青色。
紫苑色(しおんいろ)(旧仮名遣いで、しをんいろ)
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紫苑色。秋に咲く紫苑と同じ淡い青紫。
紫苑色とは襲(かさね)の色味のことでもあります。季節は秋で、表は薄紫、裏は青色。
桔梗色(ききょういろ)(旧仮名遣いで、ききゃう/きちかう)
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桔梗色。桔梗の花と同じ青みを帯びた紫。
秋を代表とする色。
桔梗という襲(かさね)の色目があります。季節は秋で、表は二藍、裏は青。
一説には、万葉集における桔梗は朝顔とも。
二藍(ふたあい)(旧仮名遣いで、ふたあゐ)
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明るく渋い青紫色のこと。
古くは紅藍(べにあい)と呼びました。
平安貴族に人気の色でした。壮年になると藍を強く、若年は紅を強めにしたそうです。
襲(かさね)の色目の名前でもあって、表は濃い縹色(はなだいろ/薄い藍色)の赤みがかった色、裏は縹色。
紫色(むらさきいろ)
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青と赤の真ん中の色。
古代の日本では高貴な色とされていました。
そして現代でも。
例えば、神職では、袴の色で階級が分かるそうです。
上から順に、特級・一級・二級上・二級・三級・四級の六等級で、このうち、一級・二級上・二級の人が身に着ける袴が紫色(ただし、同じ紫と言っても階級によって紋様や、色味が違います。一級は白紋、二級上は紫紋、二級は無地)。
また、紫と書いてゆかりと読ませることがありますが、一説によると、その由来は、古今和歌集の
“紫のひともとゆえに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る”
という和歌が元だと言われています。
これは、武蔵野に立ってみると、ふと紫草が一本生えている。何とも珍しく、貴重でいとおしいことだろう。それゆえに武蔵野はすべていとおしいものに思えるという意味。
そこから紫草からゆかり(縁)を感じる=紫でゆかりと読ませるようになったという・・・ちょっと無茶苦茶な理論です。紫草ではなく、桃の花に感銘を受けたなら桃(ゆかり)だったかもしれませんし、梅の花なら梅(ゆかり)だったのかもしれません?まあ昔の人の言葉遊びなのでしょう・・・。
菖蒲色
菖蒲色(しょうぶいろ)(旧仮名遣いで、しゃうぶいろ/さうぶいろ)
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鮮やかな青みの紫。
菖蒲色(あやめいろ)
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明るい赤みの紫。
菖蒲襲(あやめがさね。しょうぶがさねとも)という色目があります。季節は夏。
参考:
https://irocore.com/
https://www.colordic.org/w/