女の子の名前でよく名付けられる琴の字。
2019年に発表された明治安田生命の、女男の名前ランキングによると、琴葉が23位で、琴音が29位。読み方のランキングでは、コトハの響きが36位。
調査対象となった8407人の女の子のうち、琴葉という名前の女の子が22人、琴音という名前の女の子が20人いたそう。さらに、コトハの響きを持つ女の子は48人いたそうです。
和の雰囲気が受けているのではないかと思うのですが、琴とはどういう楽器なのでしょうか?
琴という字について漢和辞典ではこのように記されています。
琴
総画:12画
音読み:キン 訓読み:こと《意味》
{名}こと。弦楽器の一つ。古くは五弦だったというが、東周のころから七弦。柱(じ)を用いず、左手で、弦をおさえて音を調節し、右手でつめをはめずにひく。のち、胡琴(こきん)・月琴など、弦楽器の総称となった。また、転じて、西洋楽器のこともいうようになった。「提琴(バイオリン)」、「風琴(オルガン)」[日本語特有の意味]こと。もと、箏(ソウ)、和琴(ワゴン)・須磨琴(すまごと)などの弦楽器の総称であったが、現在では、十三弦の筑紫琴(つくしごと)をいう。《解字》
会意兼形声。「ことの形+(音符)今(ふくむ、中にこもる)」。胴を密封して、中に音がこもることから命名した。(漢字源より抜粋)
国語辞典ではこのように記されています。
こと【琴・箏】
1.古くわが国の弦楽器の総称。琴(きん)のこと・箏(そう)のこと・百済ごと・東(あずま)ごと・須磨ごと・琵琶(びわ)のことなど。
2.1のうち琴・箏、特に近世以降は箏の通称。「琴」と書くことが多い。(広辞苑 第五版抜粋)
では、箏とは?
箏・筝
総画:14画
【筝】異体字
総画:12画
音読み:ソウ、ショウ 訓読み:こと《意味》
{名}こと。琴柱(ことじ)をたてて、弦をぴんと張った弦楽器。はじめ十二弦であったが、唐以後は十三弦になり、時代が降るとともにさらに多くなった。《解字》
会意兼形声。「竹+(音符)爭(両方から引っぱりあう)」。弦を両方から引き合うように張った琴。(漢字源より抜粋)
参考:箏の書き方
柱(じ)を立てて弾く楽器を箏と呼んでいたと言います。
しかし、箏は常用漢字ではないこともあって、次第に琴と混同されるようになりました。
箏の柱のことを、箏柱(ことじ)と呼びます。しかし、琴柱(ことじ)と書かれることもあります。
ちなみに、箏(筝)の字は常用漢字でなく、人名用漢字にも入っていないので本名に使うことはできません(戦前は法律が違うため、本名に箏の字を入れることができました)。
↓箏とはこういう楽器。“おこと”といえばこの楽器ではないでしょうか。
↓箏の爪
↓琴とは、もともと柱(じ)を立てず、爪をつけないで弾く楽器ということなので、こういう楽器でしょうか。
そういえば、琴の字は佐渡ヶ嶽部屋(さどがたけべや)のお相撲さんの四股名に用いられていますね。琴欧州や琴ノ若など。これは地名に由来するものなのだそう。しかし、のちに“今王になる”という意味なのだと意味が追加されたのだとか。
確かに、琴という字をよく見ると王と今を組み合わせたように見えますね。
また、琴線に触れるという言葉があります。
きんせんにふれる【琴線に触れる】
意味:心に伝わるものがあって、繊細かつ微妙な感動を覚えること。
注釈:「琴線」は触れれば鳴る琴の弦。共鳴しやすいその琴線に触れるの意から。(故事ことわざ辞典より)
琴は弦をかき鳴らして弾くことから琴心や琴意のように人の思いを表す字としても用いられてきました。
また、和琴は、雅楽(神楽など)にも用いられてきました。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/enjoy/ranking/index.html