最近、男の子にサクという名前が人気。
明治安田生命の男の子の名前/読み方のランキングによると、サクの響きが、2018年に38位に、2019年に46位に入りました。
漢字表記を考慮しない読み方のランキングは2004年以降の記録が公表されていますが、2018年に初めて50位以内に入ったことを考えれば、近年、人気が出たことがわかります。
もしかしたら、『世界の中心で、愛をさけぶ』という恋愛小説が影響しているのかもしれません。
主人公の名前が松本朔太郎で、愛称がサクでした。
2004年に映画化されて、略称で『セカチュー』と呼ばれ、一大ブームとなったのでした。
2004年といえば、かれこれ15年ほど前のことですが、初産の平均年齢が30歳近くという時代背景を考えれば、平均的な年齢の母親世代の思春期に流行した作品といえそうです。
では、このサクにヤを付けて、サクヤとすると、印象はどう変わるでしょうか?
サクヤと調べると、女神が出てきます。
日本神話にコノハナノサクヤヒメという女神が登場するのですが、単にサクヤヒメとも呼ばれます。
漢字表記については、木花咲弥姫や、木花開耶姫など。統一されておらず、さまざまな表記がなされます。漢字というのはあとから入ってきたもので、神代にはそれほど気にするものではなかったのかもしれません。
神話におけるサクヤヒメは薄幸の美人という印象です。
サクヤヒメは大層な美人ですが、姉のイワナガヒメはそうでもありませんでした。
父神により、同じ神様に、姉妹そろってお嫁に出されたのですが(一夫多妻なのでしょう)、姉だけは送り返されてしまいました。
その後、一夜で身ごもったサクヤヒメは浮気を疑われ、その疑いを晴らすべく、夫神の子なのだから何があっても無事に産めるはずと宣言し、火の中で出産することとなります。
子は無事に産まれたのですが、結婚を断られ、恨みを持つ姉のイワナガヒメにより(恨みというのは結婚を断ったサクヤヒメの夫神に対してですが)、呪いがかけられたともいわれます。
サクヤヒメは、富士山本宮浅間大社をはじめ、全国におよそ1300社が存在する浅間神社に祭られています。
また、サクヤヒメといえば、桜と縁深い女神です。
そういうわけで、サクヤには女性的な印象を抱く人が少なくありません。
しかし、近年は、3音の名前でヤで終わることから、タクヤやマサヤなどと同系の、男性的な印象を抱く人もいるようです。
では、サクヤにはどのような字があるでしょうか?
☆サク・・・咲、朔など。
・咲はもともとは笑うという意味でしたが、のちに花が咲くという意味で用いられるようになりました。
・朔は“ついたち”、月のはじめという意味のある字。また、北のこと。朔風とは北風の意味。
☆ヤ・・・也、矢、弥、耶、哉、野(埜)、夜など。
・弥は端から端までとどく。遠い、ひさしい、いよいよ。
・矢は武器の矢。まっすぐ進むことに例えられます。
・野はひろくのびた大地。洗練されていないの意味。旧字体は埜。
・夜とはよる。暗い時間の意味。
・也は助字。一説にはサソリを描いた象形文字。
・耶は助字。邪の異体字。
・哉は助字。また、はじめて、やっとの意味のある副詞。
*助字とは、他の言葉について語調を整えるもの。
例えば、女の子の名前であれば、咲弥はなかなか意味が良いですね。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/enjoy/ranking/