近年、和風な名前が人気。
和風とは、和を感じられる名前のこと。
女性でいえば、大正から昭和にかけて流行した子で終わる名前はなく、葵や花など、いわゆる花鳥風月系の名前です。
その和風な名前として、イロハという名前が人気となっています。
明治安田生命の名前ランキングの、漢字表記を無視した読み方のランキングで、イロハの順位はこのようになっています。
年 | 順位 |
2016年 | 38位 |
2017年 | 22位 |
2018年 | 32位 |
2019年 | 24位 |
2019年に生まれの女の子8407人を調査した中で、漢字表記はどうあれ、イロハの響きを持つ名前の女の子が56人で、その占有率は0.67%でした。
このイロハという名前で人気の漢字表記は彩葉です。
“彩ふ(いろふ)”という古語か、彩り(いろどり)からきた読ませ方だと思われます。
ちなみに、彩ふとは美しい色になる、彩色するという意味があります。
このイロハという名前は賛否両論あるようです。
〇ハって抜ける音だからイロハと呼びにくい。そうかといってイロちゃんなんて呼ばれたら可哀想・・・。
“色(いろ)”は情婦の意味で使われることがあります。日常的に使うことはそうありませんが、時代劇や文学では時折見られる表現です。マイナーな隠語ではなく、一般的な国語辞典にもそのように載っています。漢和辞典でも色は色情や色気など性的な意味を持つ字であると記載されています。一説に色の漢字の成り立ちについても男女の交わりを描いたものだと言われてます。
ユウコでユウ、ナナミでナナのように、イロハでイロと呼ばれたらと危惧する人がいます。
しかし、周囲が悪意なく、わが子をイロやイロちゃんと呼んでいる場合、なかなか親がイロと呼ばないよう口出しするのは難しいことです。
また、近年では大人の女性のために、以下のようなものが発売されるに至り、巷で話題になったがためにそのようなイメージが強まったかもしれません。
参考:iroha
〇いろは歌のイロハ。あいうえおみたいで変。
“ABC”や“あいう”と付けるのと大して変わらないではないかと感じる人もいるようです。
〇和風でかわいらしい。
〇お姫様と同じ名前
昔、五郎八(いろは)という名前の女性がいました。
16世紀末期に生まれた女性で伊達政宗の娘にあたります。男児誕生を待ち望んだ伊達政宗がそのまま五郎八と付けてしまったという説もあります。しかし、イロハという名前の人が昔は全くいなかったということはないようです。
〇はじまりを感じさせる
いろはは手習いのはじめに習ったことから、物事の初歩を意味します。“歌のいろは”など。
これからの未来を感じる名前である、基本を大切にという願いが感じられるという人もいます。
いろは坂など地名にも見られるので、そこに由来することがあるかもしれませんね。
一般に、イロハというと、いろは歌が浮かびます。
漢字で書くと伊呂波。
作者は不詳で、その意味についても解釈はいろいろ。
仏教の用語を和訳したものではないかという説もあります。
色は匂へど散りぬるを=「諸行無常」
我が世誰ぞ常ならむ=「是生滅法」
有為の奥山今日越えて=「生滅滅已」
浅き夢みし酔いもせず=「寂滅為楽」
万物は常に変化することを意味する諸行無常に始まり、是生滅法(生きとし生けるものは必ず死ぬ)と続き、生死の苦を乗り越えて涅槃の境地に達することを意味する生滅滅已、寂滅為楽へと着地します。
しかし、その一方で、呪いの歌だという説が流布したこともあります。
作られた時期も作者もわからず、真意はどこにあるのでしょうね。
また、「いろは」は生みの母を意味する言葉でもあります。日本書紀で神代に使われるなどした言葉でした。
ちなみに、インターネット上で、いろはと検索すると、『 魔法少女まどか☆マギカ外伝』に登場する魔法少女・環いろは(たまき・いろは)や、『花咲くいろは』というアニメ作品が出てきました。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/enjoy/ranking/