今、『鬼滅の刃』(きめつのやいば)が話題。
『鬼滅の刃』は、吾峠 呼世晴(ごとうげ・こよはる)による漫画作品で2016年から2020年にかけて連載されました。
2019年にアニメ化がなされました。そして、2020年に公開されたアニメ映画が大ヒットして話題に。
主題歌となったLiSAによる『炎』も大ヒット。
この作品、登場人物の名前がなかなか難しいように思います。
まず、主人公は、竈門 炭治郎(かまど・たんじろう)という名前の少年です。
そして、ヒロインの名前は竈門 禰豆子(かまど・ねずこ)。炭治郎の妹です。
竈という字もなかなか難しいですね。
参考:竈の書き順
竈門という苗字だけで29画。
炭治郎は26画なので、フルネームで55画。
禰豆子は28画なので、フルネームで57画。
手書きだとなかなか骨の折れる名前です。
ところで、禰とはどのような意味のある字なのでしょう?
祢・禰
総画:【祢】9画 【禰】18画
*禰は異体字。
音読み:デイ、ネ、ナイ、ネイ《意味》
1.父の廟(ビョウ)のこと。△自分に身近な父のみたまやの意。
2.姓の一つ。△後漢の禰衡など。この場合、míと読む。《解字》
会意兼形声。「示+(音符)爾(ニ)・(ジ)(近い、身近な)」《参考》
「祢」の草書体をひらがな「ね」として使うこともある。△「祢」の草書体からひらがなの「ね」ができ、偏からカタカナのネができた。(漢字源より抜粋)
参考:禰の書き方
示と爾(なんじ、近い)を合わせた字。
この字には父の墓の意味があるといいます。
また、古来より、職や位に使われることのある字でもあります。
・禰宜(ねぎ)・・・神職の一つ。また、広く神職。
・宿禰(すくね)・・・重臣への敬称。姓の一つ。
・刀禰(とね)・・・官人、役人、神官。
など。
では、禰豆子の禰は名前に使えるのでしょうか?
残念ながら使えません。
どうにも変換できないのですが、正確には、禰豆子の禰は示に爾の禰ではなく、カタカナのネに爾です。「竈門“ネ爾”豆子」なんですね。
☆鬼滅の刃試し読みはコチラ。表記の確認もできます。⇒鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2004年に、祢と禰が人名用漢字に入ったのですが、“ネ爾”という字は採用されませんでした。
参考:法務省 戸籍統一文字
“ネ爾”は、スマホやパソコンでも変換が難しいのではないでしょうか。
ちなみに、名前に使うことのできる字を制限するようになったのは、戦後の1948年頃の話です。
ただし、それ以前からある苗字や、すでにつけられた名前については法改正の対象外となっています。
この『鬼滅の刃』の舞台は大正時代という設定です。
なので、この時代には“ネ爾”という字は問題なく、下の名前に使うことができました。
“示爾”は19画で、“ネ爾”は18画なので、1画違います。