時折、名前に臣が入っている人を見かけます。
臣が付く言葉といえば、家臣や臣下など。
なぜ、臣を名前につかうのでしょう?
臣という漢字の意味
漢和辞典にはこのように記されています。
臣
画数:7
音読み:シン、ジン 訓読み:おみ《意味》
1.おみ。もと、かしこまって使える奴隷のこと。
2.臣下が君主に対してへりくだっていう自称のことば。
3.家来としての本分をつくす。家来らしくする。
4.家来とする。召し使う。《解字》
象形。臣は、下に伏せてうつむいて目を描いたもので、身をかたくこわばらせて平伏するどれい。臥(ふせる)、や臨(下をみる)に含まれる。(漢字源より抜粋)
国語辞典にはこのように記されています。
しん【臣】
(呉音はジン)
1.君に仕える者。家来。
2.君主に対していう自称。
(広辞苑 第五版より抜粋)
おみ【臣】
1.朝廷に仕える人。臣下。
2.古代の姓(かばね)の一つ。
(広辞苑 第五版より抜粋)
家来や家臣のほかに、何かすごく特別な意味があるということはありませんでした。
調べてみると、戦前は臣下の意味で名付けている人がいたそうです。大日本帝国憲法において、日本国民は臣民と呼ばれていましたから、臣民として務めを果たすという意味で臣の字を入れたのだとか。
また、〇臣と付けて〇に従うという意味で名付ける人もいるようです。例えば、正臣なら“正しいこと”に仕える、従うという意味を込めて。
その他、親族や尊敬する人からもらったなど。
最も、名前の由来というのは、実際に名付けた人に聞かなければわかりませんが。今の時代であれば古めかしい印象を与えるかもしれません。
この名前の歴史上の人物
臣が付く名前の歴史上の人物と言えば?
清水浜臣
しみず・はまおみ
医師、歌人、国学者
1776~1824
平野国臣
ひらの・くにおみ
政治家。福岡藩士。
尊王攘夷派。
(1828~1864)
副島種臣
そえじま・たねおみ
政治家。佐賀藩士。
尊王攘夷派。
明治時代に、内務大臣などを歴任した人物。征韓論争に敗れ、下野したことも。
(1828~1905)
広沢真臣
ひろさわ・さねおみ
政治家。長州藩士。
維新の十傑の一人。尊王攘夷派。
(1833~1871)
金子元臣
かねこ・もとおみ
歌人・国文学者。
(1868~1944)
陳舜臣
ちん・しゅんしん
神戸生まれの作家。直木賞など多数の賞を受賞。
国籍は中華民国でしたが、のちに中華人民共和国の国籍を取得し、最終的には日本国籍を取得。
(1924~2015)
海外にも臣が付く名前の人がいます。
李舜臣
り・しゅんしん / い・しゅんしん
朝鮮の名将。豊臣秀吉が出兵した際に、日本軍の侵攻を防ぎ、現在の韓国で英雄とされる人物。
(1545~1598)
朱買臣
しゅ・ばいしん
前漢の官僚。
(?~紀元前115)
梅尭臣
ばい・ぎょうしん
中国、北宋の詩人。
(1002~1060)
また、台中市出身の政治家に江啓臣(1972年生まれ)や、邱臣遠(1981年生まれ)という人物がいます。
臣の字が持つ意味は日本語と中国語ではそれほど差がありません。
代々受け継いだ字を使ったり、易学に基づくなどして名付けるそうです。
最近の日本だと、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーである登坂広臣(とさか・ひろおみ)さんが有名です。