心という字を名前に使うのは良いのでしょうか?
女の子に、心という字を入れることが、ブームになっています。
ブームのきっかけは、木村拓哉さんが長女に心の字が付く名前を付けたことではないかと言われています。
個人的に心の字で浮かぶのは以下の画像ですが、一般的にはどういう意味合いで名付けられているのでしょうか?
心は人気の字
2019年の明治安田生命の名前ランキングの、女の子の名前に使用される人気の漢字ランキングで、心が10位。
女の子の名前ランキングで、心が付く名前は100位に6つも入っています。
順位 | 名前 | 人数 | 占有率 |
8位 | 心春 | 32人 | 0.38% |
29位 | 心陽 | 20人 | 0.24% |
41位 | 心結 | 17人 | 0.20% |
41位 | 心音 | 17人 | 0.20% |
72位 | 心晴 | 11人 | 0.13% |
98位 | 心花 | 9人 | 0.11% |
どれも難読ですが、一例として、心春・心陽・心晴はコハル、心結はミユという読み方が挙げられています。
もちろん名前の読み方というのは自由ですから、読み方は一例であってこれに限りません。
ちなみに、コハルは漢字表記によらない女の子の読み方のランキングで6位。
2019年生まれの男の子8,455人、女の子8,407人が対象となった調査ですが、そのうち102人の女の子はコハルという響きを持つ名前だといいます。
男の子でも女の子でもハルが付く名前がブームだと言われています。
しかし、女の子の名前のブームというのは変化が速く、ハルカブームがコハルブームへとすっかり移行したようです
女の子の読み方のランキングで、ハルカは2006年に堂々の1位となりましたが、2019年は39位に。同じランキングで、コハルは2006年に43位であったのが、前述のとおり2019年には6位まで浮上しました。
男の子の名前ではハルト、ハルキなどが大人気で、ハルブームに変化なしです。
凝った表記が人気なのか、2004年に女の子の名前で15位だった“心”という名前は、次第に順位を下げ、2015年以降、100位にも入らなくなってしまいました。ただし、ひらがな表記の“こころ”は2013年以来、久々にランキング入りし、98位に。
一方で、2019年の男の子の名前ランキングでは、一心という表記が52位でした。
心という漢字の意味
では、この心とはどのような意味のある字なのでしょうか?
心
総画:4画
音読み:シン 訓読み:こころ
《名付け》
うち/うら/きよ/ご/さね/なか/み/むね/もと1.{名詞}五臓の一つ。循環器系の中心をなす器官。心臓。
2.{名詞}こころ。精神。
3.{名詞}むね。
4.{名詞}物事の中心。真ん中。
5.{名詞}二十八宿の一つ。《解字》
象形。心臓を描いたもの。それをシンというのは、沁(シン)(しみわたる)・滲(シン)(しみわたる)・浸(しみわたる)などと同系で、血液を細い血管のすみずみまで、しみわたらせる心臓の動きに着目したもの。(漢字源より抜粋)
この字はそのまま心臓を描いた象形文字だといいます。
この漢字を選ぶ意味とは
おそらくは、こころ、精神、あるいは物事の中心の意味で名付けていると思われます。
ひと昔前に比べると、カウンセリングや心療内科、精神世界、スピリチュアルという言葉をよく聞くようになりました。自身の内面が傷ついているために我が子には同じ轍(てつ)を踏んで欲しくないという気持ちの表れかもしれませんし、内面を重視するという子育ての意向を示したものかもしれません。
あるいは、名付けに使われる特別な読み方として“ミ”があることから、従来の美や実に代わる斬新な漢字表記だということも人気の理由かもしれません。
ただ、心音では、心臓の音を連想してしまいます。
組み合わせによっては僧侶のように見えるかもしれません。
恵心僧都(えしんそうず)のように。
女の子に名付けるのであれば、男の子の名前のシン~や、~シンと誤解されることもあるかもしれません。
心はなかなか組み合わせの難しい字ではないかと思います。
心地を“ここち”と読むように、広く使われるようになれば違和感も何もなくなるのでしょうが、心でココやコと読ませる名前というのはまだまだ歴史が浅く、そうした読み方を受け入れがたいと思う人もいるでしょう。
ちなみに、姓名判断では、心の字はあまりよくないと言われることがあるようです。
心というのは変化の激しいものだから、目指す心のありようを表す字にした方が良いそうです。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/enjoy/ranking/index.html