小という字を名前に使うのはなぜなのでしょう?
小百合(さゆり)、小春(こはる)など。
小とはこのような意味のある字です。
小
総画:3画
音読み:ショウ 訓読み:ちい(さい)、こ、お《意味》
{形容詞・名詞}ちいさい。ちいさいこと。ちいさいもの
{動詞}ちいさいと思う。価値のないつまらないものとして軽んじる。
{名詞}ちいさい者。幼い者。つまらない者。
{字形容詞}自分側のことを謙そんしていうことば。(漢字源より抜粋)
卑小という言葉があるように、小という字はあまりポジティブな意味のある字ではありません。
男性名の小太郎(こたろう)は、太郎の子として主に幼名として用いられることがありました。
女性名であれば、女の子=小さいのがカワイイ。
というところから小をつけたのではないかなと思います。
小百合に関して言えばサって別になくてもいいですしね。この場合のサは接頭語で語調を整えるためのものです。
ちなみに、“さ百合花”とはゆり(後)を引き出す序詞として使われてきた言葉。
吾妹子(わぎもこ)が 家の垣内(かきつ)の さ百合花 ゆりとしいはば いなとふに似む
(万葉集より)
一方で、小春(こはる)とは陰暦十月の異称。暖かで春のようだという意味で、陰暦10月は太陽暦では冬ですから、小春は冬の季語とされています。
最近、コハルという名前が女の子に大人気。
ただし、小の字を避けて心春と漢字を当てることが人気です。
2019年に発表された明治安田生命の名前ランキングによると、コハルの響きが6位と大人気なのに、小春の表記は100位以内にも入っていません。その一方で、心春の表記は8位です。
心でコと読ませることに対しては賛否両論ありますし、読めない人がいても仕方がないでしょう。
しかし、女性が社会進出を果たした現代で、本名(下の名前)に小の字はもう時代錯誤なのかもしれません。小柄ではない女の子も増えていますしね。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/enjoy/ranking/best100/index.html