史という字を名前に持つ人がいますが、どのようなイメージがありますか。
そもそも史とはどのような意味のある文字なのでしょうか。
史
総画:5画
音読み:シ 訓読み:ふびと、ふみ、さかん《意味》
1.ふびと。記録をつかさどった役目。歴史官。
2.ふみ。歴史の書。
3.あやのある文章。
4.「女史」とは、もと、妃の教養や礼法について担当した役。のち学問のある女性を呼ぶ尊称。
[日本語特有の意味]さかん。四等官で、神祇官の第四位。《解字》
会意。「中(竹札を入れる筒)+手のかたち」で、記録をしるした竹札を筒に入れてたてている記録役の姿を示し、特定の役目をあずかる意を含む。(漢字源より抜粋)
史の意味は、記録をつかさどる役目や歴史官。
また、古代の日本における律令制で、官司の幹部の四等級の官は、長官(かみ)、次官(すけ)、判官(じょう)、主典(さかん)と呼ばれました。
そして、により表記を変えました。神祇官の場合は、伯(かみ)、副(すけ)、祐(じょう)、史(さかん)です。
役人の印象のある字。
記録をつかさどった役人を意味することからか、歴史の書や、書に関してあやのある文章の意味もあります。
あやのある文章とは、表現がたくみな文章のこと。
この字を名前に用いるときは、歴史好きな名付け親であったり、文才のある人にという願いが込められていたり、さまざまな理由が考えられます。
ドイツの政治家のオットー・フォン・ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 と言いました。
決して悪い意味のある字ではありません。
では、この字を名前に用いることは人気があるのでしょうか。
明治安田生命の名前ランキングで探してみました。この名前ランキングは、1912年(対象元年)から、10位以内に入る名前を発表しています。2004年からは、100位以内に入る名前まで発表するようになりました。
史が入る名前を探してみたのですが、ランキングに入ったことは一度もないようです。
近年、男の子に人気の字といえば、大、翔、陽など、世界に羽ばたくとか、自然に由来する字。記録をつかさどる役目や歴史官の意味は、若い親を惹きつけないのかもしれません。
そもそも、史を使えそうな名前があまり人気がないというのも原因かもしれません。
明治安田生命の名前ランキングでは、2004年からは、読み方のみを考慮したランキングを50位まで発表しています。
史は人名では、シかフミと読むことが多いので、50位以内に入る名前から抽出すると、ソウシ、シホ、シオリが当てはまります。
フミは近年の名前ランキングでは、見つけられませんでした。大正時代にはカタカナのフミは、人気があったようです。
ソウシ | |
年 | 順位(男の子) |
2010年 | 46位 |
2012年 | 48位 |
シホ | |
年 | 順位(女の子) |
2014年 | 47位 |
シオリ | |
年 | 順位(女の子) |
2004年 | 40位 |
2012年 | 45位 |
2013年 | 49位 |
2014年 | 29位 |
2015年 | 32位 |
2016年 | 28位 |
2017年 | 33位 |
2018年 | 28位 |
2019年 | 31位 |
2020年 | 34位 |
この中で、近年、安定して人気があるのはシオリくらいではないでしょうか。
どうやら、シの響き自体あまり人気がないようで、2020年の読み方のランキングで、50位以内に入った、男女合わせて100の名前のうち、シが入る名前はなんとシオリだけだったのです。
では、どのような字が人気なのかといえば、栞や詩織です。
史は女の子には堅い印象なのかもしれません。とはいえ、女史の史であり、聡明な女性を連想させます。
著名人に、藤原史織(ふじわら・しおり/旧芸名はブルゾンちえみ)など。
この史は漢姓の一つ。ラテン文字で表記するとShi(シ・シー)。
徐紹史など史の字が名前に付く人がいるのを見ると、漢字の本場でも悪い印象では決してないのでしょう。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/enjoy/ranking/index.html