梛 という字はどのような意味を持つ字なのでしょうか。
そもそもこの字は名前に使える字なのでしょうか。
日本人の本名に使うことのできる字は常用平易なものでなければならないと定められています。常用平易な字とは常用漢字と人名用漢字を指します。ただし、この決まりができたのは1948年頃のことです。苗字や、法改正以前に名付けられたものについては規制の対象外です。
調べてみると梛が人名用漢字に追加されたのは2004年のこと。
つまり、日本人で本名に梛の字が入るのは、苗字がそうであるか、1948年より前に生まれた人か、2004年以降に生まれた人か、改名したなど特殊な事情を持つ人です。
では、この字はどのような意味のある字なのでしょうか。
梛
総画:11画
音読み:ダ、ナ 訓読み:なぎ《意味》
「枸梛」とはやなぎに似た木。
[日本語特有の意味]なぎ。木の名。まき科の常緑高木。《解字》
会意兼形声。「木+(音符)那(やわらかい)」で、しなやかな木。(漢字源より抜粋)
参考:梛の書き順
日本語ではこの字の意味はなぎという名前の木。
なぎは、まき科の常緑高木。近畿から西~沖縄、台湾などの暖地の山中に自生しています。高さはおよそ15mにも達すると言います。
梛は熊野のご神木とされています。
梛の木に対する信仰は古くからありますが、常緑の木であることからいつも青々としていて、15mと樹高が高く、その堂々たる姿が古代の人々を惹きつけたのかもしれません。
植物の梛は椥とも書きます。しかし、椥は現在日本人の本名(下の名前)に使える漢字に含まれていません。
ちなみに、現代の中国では梛の字はあまり使われていません。日本語における梛の木は、現代の中国では竹柏と書きます。
熊野神社及び熊野三山系の神社では神木とされ、一般的には雄雌一対が参道に植えられている。また、その名が凪に通じるとして特に船乗りに信仰されて葉を災難よけにお守り袋や鏡の裏などに入れる俗習がある。また葉脈が縦方向のみにあるため、縦方向に引っ張っても容易に切れないことから、葉や実が夫婦円満や縁結びのお守りとしても使われている。神社の中には代用木としてモチノキが植えている場合もある。
(Wikipedia)
熊野速玉大社のナギの樹。
田村由美先生の「BASARA」に出てきたあのナギの樹。見れて良かった。
(小雨なので画面が暗い)#しのぶ旅ろぐ(那智の滝は明日行くのだ) pic.twitter.com/gnCwkmgfvg
— しのぶ(らき) (@lucky_farm) November 7, 2020
梛の花は初夏にひっそりと咲きます。
ナギ(梛)、マキ科。本州西部〜九州、台湾等に分布。雌雄異株です。
熊野神社や熊野三山系の神社の御神木とされています。
針葉樹ですが、梛の葉は幅広く縦のみに葉脈があります。
ナギは凪に通ずとして船乗りのお守りになったり、
葉が切れ難いとして夫婦円満や縁結びのお守りになっています。 pic.twitter.com/wNcNri5FzA— もっぷん (@RoFpVqO0WMVDweY) May 19, 2020
女の子に名付けられる木で人気のものは、桜や杏、桃など。花が特徴的なものです。そう考えると、梛は男性向きの字かもしれません。
ところで、この字は人気があるのでしょうか。
明治安田生命の名前ランキングでは、2004年から100位以内に入る名前が発表されています。100以内に入る名前で梛の字が入ったものはありません。
しかし、近年、ナギの響きが人気。ここに梛の字が使われている可能性があります。
2004年からは漢字表記を考慮せず読み方のみを考慮したランキングが50位以内まで発表されています。2020年の女の子の読み方のランキングでは、ナギとナギサが同列の48位でした。
参考:https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/enjoy/ranking/index.html